半導体人材が足りない――。この深刻な問題の解消に、東京大学が名乗りを上げた。半導体を容易に設計・製造できる体制を構築し、特定の用途に特化したチップ(専用チップ)の開発や社会実装を支援する。学生だけではなく社会人にも門戸を開き、半導体人材を今後10年で10倍に増やす計画だ。 東京大学は半導体の効率的な開発や人材育成のための拠点「Agile-X」を立ち上げ、2022年7月にキックオフイベントを開催した。このプロジェクトではソフトウエア開発の手法を応用して半導体を効率的に設計できる仕組みを整え、最終的に開発期間とコストを10分の1に減らす。10年にわたる長期プロジェクトを通じて半導体人材を現在の10倍に増やす目標だ。設計から製造までの工程をわずか2週間に短縮し、人工知能(AI)などの用途に特化した専用チップを早期に開発できるようにする。