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  • 『<small>哲学の歴史 09</small> 反哲学と世紀末』 須藤訓任編 (中央公論新社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 中公版『哲学の歴史』の第9巻である。このシリーズは通史だが各巻とも単独のとして読むことができるし、ゆるい論集なので興味のある章だけ読むのでもかまわないだろう。 巻はウィーン体制成立から第一次大戦までの百年間のドイツ語圏の哲学をあつかう。副題に「マルクス・ニーチェ・フロイト」とあるようにシリーズの中でも要となる巻だが、マルクス、ニーチェとフロイトは異なる文脈で登場する。 巻は12の章にわかれるが、第1章フォイエルバッハから第5章ニーチェまではヘーゲル主義が解体していく過程なのに対し、第6章の新カント学派以降はヘーゲルという重しがとれた後に新しい哲学が簇生していく過程として語られている。マルクスとニーチェは反ヘーゲルという文脈から離れられないが、フロイトは世紀末の精神科学の一つという位置づけなのだ。フロイト単独では哲学史になじみにくいが、ディルタイやジンメル、マック

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    honzuki_news
    honzuki_news 2012/12/28
    「フォイエルバッハから第5章ニーチェまではヘーゲル主義が解体していく過程」「フロイトは世紀末の精神科学の一つという位置づけ」
  • 『ぼくらの昭和オカルト大百科―70年代オカルトブーム再考』初見健一(大空出版) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 ノストラダムスの大予言。ネッシー。ツチノコ。ユリ・ゲラー。スプーン曲げ。UFO。あなたの知らない世界。心霊写真。コックリさん。口裂け女。これら実にいかがわしいトピックが日全土を座巻した時代がありました。 70年代です。 70年代は「オカルトの時代」でした。エロ・グロ・ハレンチ・インチキ・ヤラセの匂いに満ちた時代の空気のなかで、さまざまな「不思議」が次から次へと現われては消えていきました。その多くは文字どおりの「子どもだまし」でしたが、どれもが夏祭りの縁日のアセチレンランプのように、ギラギラと妖しく魅力的に輝いて見えました。 70年代キッズでなくても、漫画『ちびまる子ちゃん』を読んだことがある人なら、その空気を感じとることができるはずです。「ノストラダムスの大予言」が怖くて眠れなくなったり、毛布にくるまって心霊番組を見たり、丸尾君とツチノコ探しをしたり、まる子は高い頻

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    honzuki_news
    honzuki_news 2012/11/27
    なんとなくまた一部でオカルトブームが来ている気がするんだが、気のせいなのだろうか。
  • 『ULTRAMAN』清水栄一:原作、下口智裕:作画(小学館クリエイティブ) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「メジャー化する二次創作と「大いなる虚構」は両立するか?」 作は、誰もが知る特撮作品『ウルトラマン』の二次創作である。 舞台は、ゼットンに倒された初代ウルトラマンが宇宙へと帰っていってから数十年後。ウルトラマンと同化していた科特隊ハヤタ隊員の息子、早田進次郎は、父から受け継いだウルトラマン因子の影響で、生まれつき特殊な能力を持ち合わせていて、それゆえに新たな敵との戦いへと巻き込まれていく・・・というのがあらすじである。 おそらくこうした二次創作はこれまでにも多々存在してきたものと思われるが、作が一線を画しているのは、「メジャー化した二次創作」ということである。すなわちそれは、同人誌のような限られた市場にだけ流通する作品ではなく、一般の店頭でも売られているということなのである。 昨今では、手塚治虫の名作『ブラック・ジャック』の前史ともいえる部分を描いた、『ヤング ブ

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    honzuki_news 2012/10/31
    「『動物化するポストモダン』で指摘した「データベース消費」が、まさにメジャーなものとなってきたこと」
  • 『三つの旗のもとに-アナーキズムと反植民地主義的想像力』ベネディクト・アンダーソン著、山本信人訳(NTT出版) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 日人にはちょっとわからない著者の博識を背景に、独特の言い回しがあって理解するのが困難な書を、日語で読むことできるようにしてくれた訳者に、まず感謝したい。著者アンダーソンは、その著書『想像の共同体』(原著1983年)で、世界的に有名になった東南アジアを中心とするナショナリズム研究者である。書では、19世紀末という「グローバルなアナーキズムとローカルなナショナリズムがときに対立しながらときに連結するという独特な政治空間を醸しだした時代」を扱う。地域は、3つの旗「フィリピン独立運動派の秘密組織カティプーナンの旗、アナーキストの黒旗、そしてキューバ国旗」で象徴している。残念ながら、原著表紙に5つずつ描かれている3つの旗は、日語訳の書にはどこにもない。原著にもなんの説明もないため、門外漢にはなにをあらわしているのかわからないが、著者は読者に「未知の世界」の話を予告す

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    honzuki_news 2012/09/25
    「本書では、19世紀末という「グローバルなアナーキズムとローカルなナショナリズムがときに対立しながらときに連結するという独特な政治空間を醸しだした時代」を扱う。」
  • 『日本帝国の申し子』 エッカート (草思社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 著者のカーター・J・エッカートは朝鮮史を専門とするアメリカ歴史学者でハーバード大学コリアン・インスティチュート所長をつとめている。書は韓国近代史の基図書とされているで、副題に「高敞の金一族と韓国主義の植民地起源 1876-1945」とあるように、京城紡織株式会社をおこして大財閥となった高敞金氏の発展をたどりながら、韓国主義の起源が日統治時代にあったことを立証した研究である。 高敞金氏といっても日ではなじみがないが紡績業で成功をおさめた民族資家で、1939年には南満洲紡績会社を設立し、役員も技術者も三千人の職工もすべて朝鮮人の大工場を奉天近郊に建設するまでになった。ちなみに韓国三大紙の一つである東亜日報と名門私立大学として知られる高麗大學校は金一族が創立したものである。 エッカートは朴正煕時代の韓国に平和部隊の一員として滞在し、後に「漢江の奇跡」と

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  • 『雲をつかむ話』多和田葉子(講談社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「つべこべの行方」 筆者のまわりにも多和田葉子ファンがけっこういて、そういう人たちは『雪の練習生』を絶賛する。あれを読んでしまうとホッキョクグマに対し、もぉ、ただではすまないような感情が湧いてしまうのだ!とみな熱弁を奮う。 たしかに『雪の練習生』はいい作品だと思うが、でも、ちょっと傾向を異にするこの『雲をつかむ話』だってぜんぜん負けていないし、下手をすると勝ってしまうかもしれない、少なくとも引き分けには持ち込めそうな気がする。ただ、この作品にはホッキョクグマに盛り上がるのとはちがう入り口が必要なだけだ。 そもそも『雲をつかむ話』は「入り口」そのものにかかわる作品である。冒頭部は降って湧いたようなまったく唐突な一文から始まる。 人は一生のうち何度くらい犯人と出会うのだろう。犯罪人と言えば、罪という字が入ってしまうが、わたしの言うのは、ある事件の犯人だと決まった人間のこと

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  • 『稲の大東亜共栄圏-帝国日本の<緑の革命>』藤原辰史(吉川弘文館) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 いままでいちばんおいしかったコメは、フィリピン南部ミンダナオ島ダバオ市街地から少し内陸に入ったカリナンでべた陸稲の赤米ジャバニカだ。日人が普通にべる白米ジャパニカより粒が大きく、香りとともにじっくり味わうことができた。1985年に調査のために下宿していた家の奥さんは、市場でちょっと変わったものがあると、買ってきてべさせてくれた。たくさんの種類の地場もののコメやイモ、野菜があることがわかった。タイのバンコクのスーパーマーケットに行っても、いろいろなコメがあることに驚かされる。ジャスミンライス(香り米)として世界的に有名になった輸出用とは違い、人びとが生活を楽しむためのコメがあるのだ。 書では、ただたんに人びとから豊かな生活を奪っただけではなく、「コメの品種改良の歴史にひそむ、「科学的征服」の野望」が語られている。裏表紙には、つぎのような書の概略がある。「

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    honzuki_news 2012/09/19
    「わたしたちはなんのためらいもなく日本のコメはおいしいと思い、その日本のコメを守り、広めていくことになんの疑問も思っていない。だから、それに真摯に取り組む農学者たちを立派な科学者として尊敬してきた。」
  • 『安部公房の都市』 苅部直 (講談社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 著者の苅部直氏は『丸山眞男―リベラリストの肖像』などで知られる新進気鋭の政治学者だそうだが、読んでいるうちに、こいつSF者だなと直覚した。SF者の臭いがぷんぷんにおうのである。はたして『第四間氷期』を論じた章の扉には直接関係のないSFマガジンの表紙写真を掲げ、安部公房がSFを愛読していたことや早川書房から出ていた『世界SF全集』の思い出を語っているばかりか、『榎武揚』にジャック・フィニーの『盗まれた街』の影響がみられるなどという、それまでの慎重な筆の運びからはそぐわない、明らかに我田引水の解釈まで披瀝しているではないか。やはりSF者だったのである。 安部公房とSFというとぴんと来ない人がいるかもしれないが、安部公房はまぎれもなく年季のはいったSF者だった。安部は地球温暖化とバイオテクノロジーを予見した『第四間氷期』を1958年に書いているし(翻訳SFを相当読みこんで

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  • 『鉄道旅行の歴史―19世紀における空間と時間の工業化』ヴォルフガング・シベルブシュ著/加藤二郎訳(法政大学出版局) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「時空間感覚の変容を描きだした名著」 書は、ドイツ歴史家ヴォルフガング・シヴェルブシュによる、もはや古典とも言うべき著作であるが、昨年末付けで新装版が刊行され、その内容に鑑みて、今日でも得るところの大きい著作としてここで紹介したい。 そのタイトルは『鉄道旅行歴史』であるが、「何年から汽車の旅行が始まって、次は、何年に新幹線ができて・・・」といったような、いわゆる時系列的で年表形式の歴史を想像して手に取ると、期待外れに終わることだろう。 むしろ書は、ただの鉄道旅行歴史というより、豊富な歴史的資料に基づき壮大なスケールで描かれた時空間感覚の思想史というべき著作なのだ。 19世紀の欧米社会において、鉄道というメディアを媒介に、いかに時空間感覚が変容していったかというのが主たる内容だが、その骨子は次のような記述にまとめられよう。 「時間と空間の抹殺、これが鉄道の働き

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  • 『紙と印刷の文化録 — 記憶と書物を担うもの』尾鍋 史彦(印刷学会出版部) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「紙と人間の親和性は永遠か?」 待ちに待っていたが刊行された。『印刷雑誌』連載中から、になるのをずっと待っていたものだ。紙と印刷について、文化歴史、科学技術面からの考察をはじめ、9.11やWikiLeaks問題といった政治経済まで、じつに幅広い話題が採り上げられ、毎回読むのが楽しみな連載だった。 書は、前日印刷学会会長であり東京大学名誉教授(製紙科学)である “紙の専門家” 尾鍋史彦氏が、月刊『印刷雑誌』に1999年から2011年末まで13年間にわたって連載した「わたしの印刷手帳」156編のうち、70編を抜粋し分野別にまとめたものだ。 章立ては「第1章 印刷物の影響力」「第2章 情報と紙の関係」「第3章 産業としての印刷と紙」となっており、各章の終わりには書き下ろしで総括的な文章が掲載されている。 著者が製紙科学の専門家だから、ひたすら紙を礼賛した内容だと思

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  • 『経済大国インドネシア-21世紀の成長条件』佐藤百合(中公新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 タイトルから当然インドネシアのことが書いてあると思っていても、帯にある「アジアの臥龍が いま、目覚める」とは、いったいどこのことだろう、と思った人がいるかもしれない。背には「中国、インドのあとを追え」とあり、帯の裏には「豊富な人口と資源を武器にアジア第三の大国へ」とあるが、インドネシアを「大国」といわれてもピンとこないかもしれない。このあいだまで、インドネシアといえば、「暴動、紛争、自爆テロ、地震・津波、鳥インフルエンザ」と、「混乱と停滞」のイメージがあった。 そんな人も、帯の裏の的確なつぎの要約を読めば、書で語ろうとしていることに、興味がわくことだろう。「リーマンショック後の二〇〇九年秋、欧米の格付け会社が、インドネシアの持続的成長能力と財政的安定を評価し、国債の格付けを引き上げた。以来、インドネシアの有望性は世界が注目するところとなる。二億四〇〇〇万近い人口と豊

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    honzuki_news
    honzuki_news 2012/03/29
    初音ミクとかAKB48とかが何でインドネシアで人気なのか、少しわかった気になった。その背景も。そうか、タイやベトナムよりもインドネシアの経済規模はでかかったのか。
  • 『リスクの誘惑』宮坂敬造・岡田光弘・坂上貴之・坂本光・巽孝之 編(慶應義重大学出版会) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「リスクに寄り添う」 リスクとは何だろうか。試みに手元にあるリーダーズを引いてみる。「危険、冒険、危険性(度)、損傷(損害)のおそれ、リスク、危険要素 保険対象としての危険、事故、危険率、保険金、被保険者…」といった語義がならぶ。リスクとは不確定要素、それも危険な要素である。不確実なものを孕んだ未来をどのように予測し、それをどのように回避するのか。そもそも回避できるのだろうか。 いま、2012年3月の段階でこうした定義を読むと、昨年の未曾有の震災のことが頭をよぎる。おそらくこの一年の間、多くの人が自分の人生に起こるかも知れないリスクについて、これまで以上に頭を悩ましたことだろう。どうすればいいのか。自分は何をするべきなのか。何をしたいのか。なにを選ぶのか。書は、こうした問いに直接答えるものではない。しかしながら、「リスク」とは何かを知ることで——「リスク」と正面から

    『リスクの誘惑』宮坂敬造・岡田光弘・坂上貴之・坂本光・巽孝之 編(慶應義重大学出版会) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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