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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (10)

  • 経済危機と教科書 - 池田信夫 blog

    今回の危機を受けて、経済学の初等教科書は書き換えられるべきだろうか。Mankiwによれば、基的な部分は変わらないが、いくつか修正が必要だという。金融機関の役割:普通の入門書では金融システムはほとんど説明しないが、今回の事件でその重要性がわかった。それはガードマンみたいなもので、うまく機能しているときは誰も気にしないが、機能しないと大変なことになる。 レバレッジの効果:資金を株式で調達するか負債で調達するかは初等教科書ではあまり気にしないが、実務的にはまったく違う。それは平時には資効率を高めるが、有事には危機を拡大する。 金融政策の限界:不況になったら金融を緩和すればいいというのが普通の答だが、名目金利がゼロになったらどうすればいいのかはわからない。非伝統的な金融政策の効果も、まだ不明だ。 予測の失敗:経済学者が今回の危機を予測できなかったことは事実だが、それは多くを望みすぎだろう。医学

  • 動学マクロ経済学入門の入門 - 池田信夫 blog

    世の中には、まだ「どマクロ経済学」の信者がいるようで、いまだに同じようなコメントやTBが来る。IS-LMで考えているかぎり、何を説明しても無駄なので、ここでまとめて新しいマクロ経済学の教科書的な説明をしておく。長文でテクニカルなので、ほとんどの人には読む価値がないと思う。 DSGEは動学モデルなので、最初から変分法とかオイラー方程式が出てきて、ほとんどの人はそこで挫折するだろう。しかしそれは質的ではなく、ほとんどの結論は簡単な2期モデルで導ける。その点で、Goodfriendの解説論文は便利だ。くわしくは原論文を読んでもらうとして、ここでは彼の簡単なモデルを超簡単にして、結論だけ書く。まずcを消費、nを雇用、aを労働生産性とすると、 c=an・・・(1) したがってn=c/aだが、ここでμ=a/wを企業のマークアップ率とすると、 n=1/(1+μ)・・・(2) と書ける。μが利

  • [中級経済学事典] 自然失業率 - 池田信夫 blog

    きのうの短い記事が、意外に論議を呼んでいるようだ。40年前の経済学の常識が、まだ一般に理解されていないのは困ったものだが、サマーズがいっているのは長期の労働供給、つまり自然失業率の原因である。短期的には労働需要の変動が失業に影響するのは当たり前だが、それを政府が完全にコントロールすることはできない(cf. Mankiw)。長期の失業率は労働市場の硬直性で決まるので、政府の介入は有害である。 図のように、短期の失業率はケインズ的な財政政策でAからBに下がるが、それはインフレによって実質賃金を下げているだけなので、労働者がインフレを織り込むと労働供給が減って失業率はCに戻り、長期的には自然失業率(NAIRU)で労働市場が均衡する。つまり財政政策というのは労働者を一時的にだましているので、長期的には失業は自然率に戻り、インフレだけが残る。サマーズもいうように、労組の力が強くなると労働市場が硬直

  • 金融危機を理解するための15冊の本 - 池田信夫 blog

    雑誌から「今年の収穫」というアンケートが送られてくる季節になった。今年ブログで紹介したをチェックしてみて、今年の後半はほとんど収穫がないことに気づいた。たぶんアメリカ発の金融危機のスケールが大きすぎ、かつそれを正確に分析したがまだ出ていないためだと思う。そこで、とりあえず今の段階で現状を理解するのに役立つと思われるをリストアップしてみた:Black Swan 市場リスク:暴落は必然か When Markets Collide The Age of Turbulence 現代の金融政策 Essays on the Great Depression The Great Contraction すべての経済はバブルに通じる 資主義は嫌いですか なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか Bad Money Fixing Global Finance Globalizin

  • 金融危機のマイクロストラクチャ - 池田信夫 blog

    世界の株式市場は、底なしの暴落が続いている。これは各国政府の対策に、市場が「それでは足りない」というメッセージを出していると解釈できる。何が足りないのか――それがわからないのがBlack Swanの特徴だが、ここでは一つの仮説を提示してみる。 私は「今回の問題の質は、CDOやCDSに値がつかなくなったことだ」というシュワルツの意見に基的に賛成だ。決済機能が健全なのにこんなパニックが起こるのは、派生証券市場のmicrostructureに原因があるのではないか。航空機の路線で、ハブというのがよく知られている。普通に2つの空港の最短距離を結ぶと、nヶ所の空港を結ぶにはnC2=n(n-1)/2路線が必要だから、nが大きくなると組み合わせの爆発が起こって採算がとれなくなる。これに対して図のように、たとえばデンバーをハブにすると、路線の数は最小n-1ですむ。 株式や債券に取引所があるのは、こ

  • スペースシャトルからゴキブリへ - 池田信夫 blog

    今回の金融危機の原因を、契約理論で考えてみる。私の昔の論文の再利用だが、政策担当者には参考になるかもしれないので、簡単にまとめておく。かなりテクニカルなので、興味のない人は無視してください。 前に磯崎さんとの往復ブログ(?)でも書いたが、なぜ金融市場で株式と債券という特殊なcontingent claimが圧倒的に多いのかは、合理的に説明がつかない。理論的に考えれば、Arrow-Debreu証券(状態空間の単位ベクトル)で状態空間を連続にスパンすることで完備市場になるので、一般には株式も債券も最適な証券ではない(Allen-Gale)。派生証券で両者の線形結合をつくることによって効率は高まるので、こうした金融商品は市場ではゼロサムゲームだが、経済的な福祉は高まる(だから賭博とは違う)。 もし取引主体が無限に多く、彼らの選好が連続に分布していれば、すべての証券はArrow-Debreu証

  • B-CASについての技術的まとめ - 池田信夫 blog

    先日の速報には10万を超える爆発的なアクセスがあったが、いろいろ間違いがあり、多くのコメントやTBなどで訂正していただいた。まず私がB-CASの規格(ARIB STD-B25)を誤解していたため混乱をまねいたことをおわびし、あらためて(私の理解している範囲で)正確に問題をまとめておく。非常にテクニカルな話なので、関係者以外は無視してください。 私は、まずカードを挿入しないと見えないという程度の簡単な(スクランブルなしの)B-CASが導入され、地デジに移行するときコピーワンスを実装するためにMULTI2が導入されたと理解していたのだが、システム上は最初からMULTI2は入っており、最初は使わなかっただけらしい。そのしくみを簡単に解説すると、いっせいに数千万人に信号を送るため、暗号鍵を共通のECM(Entitlement Control Message)とカード固有のEMM(Entitlem

    horihorio
    horihorio 2008/08/24
  • ベスト経済学ブログ - 池田信夫 blog

    Brad DeLongのブログで、「経済学ブログのベスト10」が話題になっている。NetNewsWireがあげたのは次のリストだが、DeLongならずともちょっと首をかしげるところだ:Economist's View Marginal Revolution Curious Capitalist The Big Picture Econbrowser Angry Bear Real Time Economics The Conscience of a Liberal Market Movers Infectious Greed単純にテクノラティのリンク数(authority)で並べた26econ.comでは、次のようになっている:Freakonomics Marginal Revolution The Conscience of a Liberal The Big P

  • 日本の政治はなぜ「変化」できないのか - 池田信夫 blog

    アメリカの大統領予備選は、ヒラリー・クリントンが土俵際で踏みとどまり、おもしろくなったが、特に民主党の演説でうんざりするのは"change"という言葉がやたらに出てくることだ。「変革」と訳しているメディアもあるが、これは小規模な改良も含む幅広い概念なので、「変化」と訳したほうがいい。 内田樹氏は、これを変革と訳して「私は変革には反対」で、必要なのは社会システムの断片(ピースミール)をとりあえず「ちゃんと機能している」状態に保持する「ピースミール工学」だといっているが、これはポパーの(誤った)受け売りだろう(*)。ポパーは『歴史主義の貧困』や『開かれた社会とその敵』で、社会主義のようなユートピア社会工学を批判し、ピースミール社会工学を提唱したが、彼はchangeを否定したわけではない。また社会工学という概念については、ハイエクが「設計主義の一種だ」と批判し、自生的秩序を提唱した。 内田氏

  • 今年のベスト10 - 池田信夫 blog

    今年も書評を2つの雑誌で担当し、そのうち1誌は来年、足かけ10年目に突入。おまけに2つの雑誌で「今年のベスト経済書」の選考委員になったりして、すっかり書評の専門家にされそうだけど、書評以外の仕事もよろしく。ブログとの書き分けは、ちゃんとやってますので。 そういうわけで、今年もブログと雑誌あわせて100冊以上(!)の書評したが、今年はベストを選ぶのにそう困らない。あいかわらず主流派経済学は不作で、収穫は超オーソドックスな『資開国論』ぐらいだが、それ以外ではおもしろいがけっこうあった。専門書とベストセラーをはずして選ぶと、The Black Swanマルクスの亡霊たち財投改革の経済学1997年―世界を変えた金融危機The White Man's BurdenSupercapitalism日軍のインテリジェンスProphet of Innovation人々はなぜグローバル経済の質を

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