吹奏楽が正規の授業になるよう、普通科高校を変えた校長がいる。 ある生徒はチューバ、ある生徒はパーカッション。それぞれ、小さく区切られた練習室で専門の講師から個別指導を受ける。順番を待つ生徒は合奏室で自主練習を続けた。 吹奏楽部の活動ではない。三重県鈴鹿市にある県立白子(しろこ)高校普通科に昨春できた「文化教養(吹奏楽)コース」(定員40人)の授業「演奏法」の時間だ。 吹奏楽を専門的に学べる普通科高校は公立学校では極めて珍しい。この改編を提案し、実現したのは大島謙校長(58)だ。2003年に東芝出資の米投資ファンド会社社長から転身した。 白子高校の吹奏楽部は部員約100人を数え、過去30年間、毎年のように全国コンクールの県代表になり、数々の入賞歴を誇ってきた。東芝で商品企画にかかわったこともある大島校長は、その点に注目し、吹奏楽部という部活動を、教育課程に組み込んで、学校のブランドにしようと