前回の補足。前のエントリーでちょっと言及した「交響曲の<本来の迫力>」とされるものについての美学論議。 音楽史の授業というようなことをやっていると、例えばベートーヴェンの交響曲は、要するにどこが凄いのか、というようなことを学生さんに納得していただかなければいけないわけで、私なりの説明を一通り用意して臨んでおります。 所詮は「美学」=ある集団or地域or時代or階層の支配的イデオロギーである(であった)言説ですから、絶えず変化しつつある今現在を生きている私たちにとっては参考知識のひとつ。不賛成な人に「これが正解」と押しつける性質のものではないですが、音楽研究の学説的には、たぶん、このあたりが定説or通説だろうなというようなお話です。 私が音楽史をやるときに想定しているのは、旧西ドイツの音楽学者のカール・ダールハウス(奇しくも戦後ダルムシュタット音楽研究所などとも関わりながら仕事を始めて、ベル