元音楽之友社の編集者・鈴木茂、木村元両氏によって2007年に立ち上げられたアルテスパブリッシングは、“音楽を愛する人のための出版社”として、ジャンルを問わず音楽をテーマとした批評、ガイド、研究書などを50冊刊行している。小規模・少部数でありながらコンスタントにヒット作を生み、2011年末には初の雑誌、季刊『アルテス』を創刊。小さな出版社の生きる道とは――代表の鈴木氏にお話を伺った。 「自分で作って自分で売る」が出版の基本 ――音楽之友社を辞められたとき、自ら出版社を立ち上げようというお気持ちはあったんですか? 鈴木茂氏(以下、鈴木氏)■具体的なプランがあったわけではないのですが、会社員時代から、当時の同僚で僕と一緒にアルテスパブリッシングを立ち上げた木村元と「初版2000部でもコンスタントに売れる書籍をつくり続ければ、2人くらいなら食っていけるんじゃないか?」みたいな話はよくしていました。