◇録音、スコア…個人頼みに研究者ら危機感 東京都立染井霊園に、平面の新しい墓が建てられた。刻まれた名前は巌本真理(1926~79年)。毎日芸術賞も受賞した名バイオリニストである。この墓は、実は壊されて無縁仏にされる寸前だった。その公告が出されたことに遺族関係者が気づいて手続きし、事なきを得た。 同霊園によると、5年以上管理料が支払われず、遺族とも連絡が取れずに更地に戻す墓所は、年間十数件あるという。たとえば「守る会」などができて管理料を支払って保存したいと申し出ても、都条例で6等親以内の関係者しか墓所の権利を引き継げないため不可能。多くの文化人を抱える同霊園も苦慮している。 文化とは、残すことであろう。過去の業績に思いをはせることで引き継がれていくものは大きい。基準を作り芸術家などの墓は公的に維持できないだろうか。 巌本真理は、その名を冠した弦楽四重奏団で日本の室内楽の黎明(れいめい)期を