警視庁は13日、部下への指導と称して暴力を振るったり、飲食代を払わせるパワーハラスメント行為を繰り返したとして、第5方面交通機動隊の男性警部補(46)を停職3カ月の懲戒処分とした。上司だった警部2人も黙認したとして、それぞれ減給100分の10(1カ月)と戒告処分とした。警部補は「悪ふざけだったが、指導の範囲を越え大変反省している」と話しているという。 警視庁によると、警部補は09年3月、30代の巡査長のパトカーへの乗車遅れをとがめ、事務室で乗車用ヘルメットを振り下ろし、巡査長の右手指を骨折させた。また、同年8~11月には、20代の巡査長に硬式野球ボールを数回投げつけて太ももに打撲を負わせたり、一緒に行ったラーメン店で2回にわたり、飲食代の全額(4人分5000円)や一部(5人分5000円のうち2000円)を支払わせた。上司2人は、被害者のけがを自過失とする虚偽の報告書を黙認したり、飲食に同席
◇録音、スコア…個人頼みに研究者ら危機感 東京都立染井霊園に、平面の新しい墓が建てられた。刻まれた名前は巌本真理(1926~79年)。毎日芸術賞も受賞した名バイオリニストである。この墓は、実は壊されて無縁仏にされる寸前だった。その公告が出されたことに遺族関係者が気づいて手続きし、事なきを得た。 同霊園によると、5年以上管理料が支払われず、遺族とも連絡が取れずに更地に戻す墓所は、年間十数件あるという。たとえば「守る会」などができて管理料を支払って保存したいと申し出ても、都条例で6等親以内の関係者しか墓所の権利を引き継げないため不可能。多くの文化人を抱える同霊園も苦慮している。 文化とは、残すことであろう。過去の業績に思いをはせることで引き継がれていくものは大きい。基準を作り芸術家などの墓は公的に維持できないだろうか。 巌本真理は、その名を冠した弦楽四重奏団で日本の室内楽の黎明(れいめい)期を
◇菅政権、同盟頼み 日米安全保障条約の改定から50年。日米同盟を外交・安保政策の基軸に据えてきた日本は、東アジアの安全保障環境の大きな変化に直面している。中国は、領有権問題で近隣国への攻勢を強める。一方、米国は対中政策で強硬姿勢にかじを切り、尖閣諸島沖の漁船衝突事件を機に、アジアの安全保障秩序の形成により深く関与する構えを見せ始めた。米中がアジアの主導権を争う中、日本外交は行く先を見定められずにいる。【「安保」取材班】 ◇対米、試された危機対応力 「中国は『力』のみを信じる国だ。今回の尖閣危機で日本の対応をテストしたのだ」 菅直人首相が日中関係の立て直しに躍起だった10月下旬、米議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」のラリー・ウォーツェル氏は毎日新聞の取材に中国側の見方をそう分析した。駐在武官として北京の米国大使館に勤務した中国通だ。 尖閣事件で逮捕された中国人船長の釈放決定前の9月
政府は26日、10年度の文化勲章受章者7人と文化功労者17人を決定した。文化勲章は▽原子核物理学・学術振興の有馬朗人氏(80)▽建築の安藤忠雄氏(69)▽有機合成化学の鈴木章氏(80)▽演劇の蜷川幸雄氏(75)▽有機合成化学の根岸英一氏(75)▽服飾デザインの三宅一生氏(72)▽日本中世史の脇田晴子氏(76)--に贈られる。文化功労者はスポーツの王貞治氏(70)ら17人に決まった。鈴木氏と根岸氏は文化功労者にも選ばれた。 安藤氏は現代建築の分野で実績を上げるとともに歴史的建造物の再生にも手腕を発揮。国内外で大規模な改修に携わった功績が認められた。蜷川氏はシェークスピア全作品上演や「ハムレット」の英国公演など、国内外での活動が評価された。 王氏は現役時代、長嶋茂雄氏(74)と組んで読売ジャイアンツの3、4番を務め、国民的ヒーローとして人気を集めた。プロ野球界からの文化功労者は、いずれもジャイ
日本の芸術文化状況を見ると、東京に集中し過ぎている。これでいいはずがない。地域ごとに個性ある芸術文化が花開き、競い合い、結果的に国の文化水準を高めていくような流れが生まれてほしい、と望む。 舞台芸術の関係者から「劇場法(仮称)」制定を求める声が上がっている。日本芸能実演家団体協議会(芸団協)を中心に、国会議員を招いてシンポジウムを開くなど、積極的な活動を展開している。 劇場法の推進者の一人で、内閣官房参与を務める劇作家の平田オリザさんは、次のように説明する。 「全国2000を超える公共ホール・劇場を、演目の創造も担う『作る劇場』、創造はせずに鑑賞の場となる『見る劇場』、舞台芸術とは無縁の『集会施設』の三つに分け、メリハリの利いた運営を行うための法律です」 「『作る劇場』には芸術監督と専門プロデューサーを置いて、地域の拠点的な劇場とします。僕は『ソフトの地産地消』と呼んでいるんですが、『作る
経済的に苦しい学生を支援するため、上智大学(東京都千代田区)は昨年末の教職員ボーナス予算3000万円をカットして、来年度から特別奨学金を創設すると発表した。各大学は不況対策で奨学金を拡充する傾向にあるが、ボーナス予算から捻出(ねんしゅつ)したのは異例。 上智大企画広報グループによると、ボーナスカットの対象は、同じ学校法人が運営する上智短大、上智社会福祉専門学校を含めた教職員計約810人。1人平均約3万7000円が減った計算になるが、教職員組合とも合意したという。 捻出した予算3000万円は3年分の奨学金に充て、来年度から毎年1000万円を特別奨学金として計上する。現在検討している基準で経済的に困難と認めたグループ3校の学生計100人に1人10万円を給付し、12年度まで続ける。返済の必要はない。 大学企画広報グループは「自分のボーナスが減るので教職員にはいろいろな意見があったと思うが、建学の
◇次世代の才能、世界へ飛躍 世界に飛び立つ若き才能が結集--。昨年秋に開催された第78回日本音楽コンクールの各部門で1位に輝いた演奏家による受賞記念の発表演奏会が、3月9日の東京オペラシティを皮切りに全国各地で開かれる。東京公演では、東京交響楽団(現田茂夫指揮)と協演。コンクールと違い自由曲を演奏するため、個性豊かで新鮮な演奏に期待できる。国内最高峰のコンクールを制したばかりのフレッシュな顔ぶれを紹介する。【藤田裕伸】 ◆声楽部門1位 佐藤康子さん(32)=東京芸大大学院 ◇「蝶々夫人」に期待 第74回の音コンで3位に入賞し、「自分を改善しなければ」とイタリアへ留学した。その結果、スポレート実験歌劇場で「ラ・ボエーム」のミミ役でデビュー。一時帰国で昨秋の音コンに参加し、その経験と実力を発揮した。 歌うのは、本選と同じプッチーニ。「マノン・レスコー」から“捨てられて、一人寂しく”と「蝶々夫人
第78回日本音楽コンクール(毎日新聞社、NHK共催、特別協賛=三井物産)の本選会シリーズが20日、東京・初台の東京オペラシティで開幕した。初日は作曲部門の審査が行われ、中辻小百合さん(26)=国立音大大学院=が「消えていくオブジェ~北園克衛の詩による~」で第1位に選ばれた。詩の言葉を鮮やかにすくいとったことが評価された。 今年の課題は室内楽作品。応募の53曲から、譜面審査を通過した7人の作品が板倉康明指揮東京シンフォニエッタにより初演された。池辺晋一郎、野平一郎ら11氏が審査した。 他の入賞、入選者、作品名は次の通り。(敬称略、2位・入選は演奏順) <第2位>大胡恵(30)=東京芸大卒=「お早うコンプレックス」▽薮田翔一(26)=東京音大大学院=「Reflect」<第3位>なし<入選>増田真結(27)=京都市立芸大大学院=「かさねのあわい~ヴィオラとチェンバロのための二重協奏曲~」▽桑原ゆ
5月に出した長編小説『1Q84』(第1、2部、新潮社・各1890円)が大きな話題となっている作家、村上春樹さんがこのほど、毎日新聞のインタビューに応じた。1980年代の日本を舞台に「個人とシステムの対立」を描いた重層的な物語だが、村上さんはさらに第3部を執筆中であることを初めて明らかにした。新作に込めた思いを聞いた。【構成・大井浩一】 ■最初は『1985』 --『1Q84』は現在、2巻とも18刷を重ね、「BOOK1」が123万部、「BOOK2」が100万部と、ミリオンセラーを記録。複数の研究本が出版されるなど、驚異的な反響を巻き起こした。 「僕の固定読者は、長編で約15万~20万人いると自分では考えています。それくらいだと、自分の発信したものがそれなりに受け止められているという手応えがある。50万、100万となっちゃうと、どんな人が読んで、どんな感想を持っているかはなかなか見えないですよ
ドイツの音楽関係者によると、世界の最高峰のオーケストラ、ドイツのベルリン・フィルハーモニーのコンサートマスターにドイツ在住のバイオリニスト、樫本大進さん(30)の就任が内定した。ベルリン・フィルの日本人コンサートマスターは3月で退任した安永徹さんに次ぎ2人目。 ベルリン・フィルでは安永さんの後任を募集、世界第一線のソリスト数人が最終候補に残り、審査を受けていた。樫本さんは今後約1年、試用期間として同フィルでコンサートマスターを務め、団員の3分の2以上の賛成を得てから完全な契約を結ぶことになる。 樫本さんはロンドン生まれ。3歳からバイオリンを始め、ドイツ・リューベック音楽院でザハール・ブロン氏に師事。ケルン国際バイオリン・コンクール、ロン=ティボー国際音楽コンクールなどで優勝。【梅津時比古】
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く