東日本大震災から1年。あの時から私たちに突きつけられた過酷な現実は、一見平常を取り戻したかのように見える日々の裏側で、変わらずその黒い大きな口を開き続けている。そして私たちもどこかで薄々、その現実からは逃れられないことを感じている。チェルフィッチュ待望の新作『現在地』は、そんな私たちが突きつけられている過酷な現実に対して、真っ向から挑む作品になりそうだ。作・演出の岡田利規は震災以降からの影響を全く隠そうとはしない。日本の無気力な若者をリアルに描き、数々の賞や評価を得た岡田は、その作風をかなぐり捨てるように、今まで疑い、避け続けてきた「フィクション」という武器を手に取って、この現実に対峙しようとしている。そんな大転換期を向かえたチェルフィッチュの岡田利規、宣伝美術として新しい変化を加えたグラフィックデザイナーの松本弦人、そして音楽を担当するサンガツの小泉篤宏を迎え、『現在地』について、それぞ