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ブックマーク / blog.tinect.jp (3)

  • 手取り19万円の栄光の終わりに

    舵のない舟 かくて早くも彼の心は、洗練された隠遁の地、心地よき無人の境、人間的愚かさの絶えざる氾濫を遠く逃れた、びくとも動かぬ、なまぬるい方舟を夢みつつあった。 ユイスマンス『さかしま』 さかしま (河出文庫) 思えばおれの人生というのは舵のない舟に乗って川を流れてきただけだ。みすぼらしい帆や、壊れかけのエンジンはついていたかもしれない。ただ、流れてくるように、流れてきた。 おれは人生に興味がなかった。正確にいえばおれはおれの人生に興味がなかった。明日、どうしよう。五年後、どうしよう。大人になったら、どうしよう。なに一つ向き合ってこなかった。 親だとか誰かだとかにいわれるがままに、適当に流れてきた。意思というものがなかった。 べつに親だとか誰かだとかを信じていていたとか、そんな話もない。自分は確固たる意思をもって、意思を持たずに生きてきた。 人生の岐路に立って自分で道を選んだという覚えもな

    手取り19万円の栄光の終わりに
  • 50歳になってようやく気付いた、人生で重要なことと、後悔したこと。

    僕はいま、40代最後の数日を過ごしていて、このエントリが公開されているときには(急病や事故などで世を去っていなければ)50歳を迎えているはずです。 僕の両親はともに50代で人生を終えているので、ああ、もうここまで来てしまったか、終活とかも考えなければならないのかな、という感慨とともに、こんな悟りには程遠い年齢、成熟度で命が尽きるとき、両親はどう考えていたのだろう、納得できなかったんじゃないか、と想像もするのです。 命というのは、人が納得するしないにかかわらず、終わるときには終わる。 最近、周囲の人の若くしての思いがけない訃報が続いて、僕自身混乱もしているのだけれど、その一方で、「まだ自分の番ではなかった」ことに、少し安堵もしてきました。 それでも、いつかは順番がまわって来る。 今の世の中の全体像としては、50代くらいは、まだ「現役世代」であり、そこまで老け込むことはないのかもしれませんが

    50歳になってようやく気付いた、人生で重要なことと、後悔したこと。
  • 海外SF小説の超絶傑作「死者の代弁者」について、今から全力でお勧めします

    小説を読んでいて、 「この作品の作者さんは、どうしてこんな作品を書けたんだろう?」 「どんな脳をしていればこんな筋書きが思いつくんだ……?」 と思うことがたまにあるのですが、私にとって、その頻度が一番高い作家はオースン・スコット・カードかも知れません。 この記事で、私はオースン・スコット・カードの傑作中の傑作である「死者の代弁者」について、多少なりと未読の皆さんに興味を持ってもらえるようなお勧め記事を書きたいと思っているのですが、事前に二つ断らせてください。 ・この記事を読むと、「死者の代弁者」の前作「エンダーのゲーム」の終盤の展開について、否応なく推測出来てしまうこと ・「死者の代弁者」についてのネタバレは最低限に抑えるが、それでも多少は内容について触れない訳にはいかず、完璧にゼロの状態で「死者の代弁者」に触れた時の楽しさを若干は損なってしまうかも知れないこと 「ネタバレ注意、と書いた時

    海外SF小説の超絶傑作「死者の代弁者」について、今から全力でお勧めします
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