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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (9)

  • 経済学の大事と小事(前編) - 経済を良くするって、どうすれば

    (前編 デフレの論理) 2011年秋、物理学者を色めき立たせる出来事があった。名古屋大などの国際研究チームが、素粒子ニュートリノが光より速く飛んだという実験結果を発表をしたからである。残念ながらと言うか、やはりと言うか、翌年には、実験が誤りであったことが判明して終わったが、もし、それが当だったら、物理学の基的な理論は、書き換えられていただろう。 この騒動を思い出したのは、himaginaryさんが1/15にリポートした「投資において企業は金利の低下に極めて非感応的」というFRBの論文を見た時だった。それは、こうした事実が判明した場合、経済学は、「金利が投資や貯蓄を調整する」という理論を書き換えたりするのだろうかという連想である。 もちろん、そんなことがないことは、分かっている。金利の効かない事態は、今に始まったわけではない。1930年代のケインズの昔から、繰り返し指摘されており、その道

    経済学の大事と小事(前編) - 経済を良くするって、どうすれば
  • リーマンショック後の出生率動向 - 経済を良くするって、どうすれば

    昨日の日経で芹沢洋一さんが地方の少子化を取り上げていた。地方に子供が多かった状況は、第一次、第二次ベビーブームの反映でもあるから、これが続かないのは仕方のない面もある。日出生率の傾向は地方高・都市低であり、これはリーマンショックの前後でも変わらない。地方の「寂しさ」は、近年の少子化で絶対数が減っているところにある。 ただし、リーマンショック後、東日では地域的な動向に異変が見られた。2006年から2010年の変化を人口動態統計で見ると、全国的には出生率の増加傾向が見られる中で、北海道、東北、北関東の出生率が伸び悩んでいる。特に、青森、秋田、山形の3県はマイナスになった。他方、東京都は低水準からではあるものの、広島県に次いで全国2位の伸びである。 人口移動調査でも分かるように、東日では東京圏の吸引力が強い。こうした傾向は、リーマンショック後の不況で、地元で仕事に就けない東日の若者が首

    リーマンショック後の出生率動向 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 未来の1/3が決まるとき - 経済を良くするって、どうすれば

    麻生財務相は、昨日の閣議の会見で「消費増税の時期を延ばす感じはない」と語ったようだが、筆者は、閣議前に発表された4月の家計調査の結果を見て、「これで増税は厳くなった」と考えていた。季節調整済指数が-4.6となり、3か月前の水準さえ下回る99.7まで落ちていたからである。つまり、5、6月がかなり良くないと、GDPの最大項目の消費がマイナス成長になる。それでは消費増税の経済条件のクリアは困難だ。 ……… 家計消費が大きな反動減を示したことについては、3/31で触れていたように、驚きはない。やや戻り過ぎの感はあるが、正常に復したということだろう。勤労者世帯の消費性向は73.2%と平凡なレベルに戻った。やはり、所得増がない中で、消費性向の上昇による消費増には無理がある。今後、5、6月が1-3月期の平均値まで上昇したとしても、4-6月期は前期比-0.9になる。この穴を他の需要項目で埋めるのは容易でな

    未来の1/3が決まるとき - 経済を良くするって、どうすれば
  • 理路整然と間違う - 経済を良くするって、どうすれば

    歴史に名を残す日経済学者は、高度経済成長の預言者となった下村治博士くらいのものだろう。その下村博士も、オイルショック後の日経済について、エネルギー制約からゼロ成長になるという読み間違えをしている。しかし、間違えた理由が何だったのか、検証できる理路整然さは評価されている。そこから「経済とはどういうものか」という認識が深まるからだ。 先日、書評家の小飼弾さんが「日の景気は賃金が決める 」(吉佳生著)を高く評価していたが、デフレの原因が賃金であることは、ある意味、当たり前である。景気というのは、設備投資を起点に、それが工場や店舗を増やし、需要と雇用が伸び、所得増によって消費が拡大し、需給が引き締まって物価が上がるという経過をたどる。こうした見方は、エコノミストには、ごく普通のものだ。 したがって、デフレの原因を考えるときは、超低金利と低賃金という投資収益を得る上で格好の条件が揃っている

    理路整然と間違う - 経済を良くするって、どうすれば
  • 物価上昇へのプロセス - 経済を良くするって、どうすれば

    あまり物事を簡単に考えない方が良い。金融緩和をすれば、景気が上向き、物価が上昇する。大きな流れは、それで良いが、実現には、いくつものプロセスを経る必要がある。これを理解していないと、上手く行かなかったときに、余計に失望することになる。効かない魔法の杖は、あっさり捨てられかねない。 ……… 通常、金融緩和は、輸出と住宅投資に効く。金融緩和が円安を呼んで、輸出を増やし、それが設備投資を促し、雇用増、所得増、消費増、物価上昇というプロセスをたどる。迂遠な話であり、どこかで引っかかり、上手く行かなくなることも多い。そもそも、円安になるかどうかも相対的な問題で、米国の景気が減速し、実質金利が低下する観測が出たりすると、入り口でつまずくことになる。 円安が実現しても、輸出増や設備投資増は楽観できない。円高を経て、国内への投資には慎重になっているからだ。昨日の日経にあったトヨタの動きにあるように、実際に

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  • 機に乗ずるための問題の発見 - 経済を良くするって、どうすれば

    現実には、問題を解くことより、見つけることの方が重要になることが多い。良い問いを設定することこそが、困難な状況を脱する早道となる。世の中では、新しい正副の日銀総裁が決まり、次の金融緩和策に注目が集まっているが、筆者の見所は、その先にある。大胆な金融緩和さえすれば、緊縮財政でも脱デフレは可能なのか、そろそろ、次の論点を考えるべきではないだろうか。 岩田規久男先生は、衆院の所信聴取の中で、「成長で税収を上げてから、消費税増税で遅くない」と語っているし、浜田宏一先生は、自民党での講演で、「増税しても歳入が増えるとは限らないというのが橋政権のときに行った増税以来の答え」と述べている。お二人は、金融緩和だけで良いと考えているように見えない。そもそも、安倍首相の所信演説には、「消費税」という文字はないのだ。 ……… 先日の経済教室は吉川洋先生だった。1月に出た「デフレーション」のさわりの部分をまとめ

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  • 成長が先か、生産性が先か - 経済を良くするって、どうすれば

    2/7の深尾京司先生の経済教室は、おもしろく読ませてもらった。経済学の常識は、個々の企業が生産性を上げ、その結果として経済が成長するというものだろう。それは分かっていながら、筆者は、成長の結果として、生産性が上がっているのではないかという、長年の疑問を拭えないでいる。因果関係を逆転させるのは、基的な思考法なので、余興につきあってもらえたらと思う。 ……… 紙面に掲載された図を見ると、製造業のTFPは、1991年のバブル崩壊を境に伸びが落ち、2002年頃から急に高くなっている。ということは、1991年から技術革新や規制緩和が停滞し、2002年から大きな進展を見せたということだろうか。正直、そうした技術的実感はまったくない。単に、バブル崩壊後に需要が伸びなくなり、2002年以降はアメリカンバブルで輸出が急増したに過ぎぬのではないか。 こうして見ると、技術革新や規制緩和によって経済を成長させよ

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  • 経済学を人類に役立てるために - 経済を良くするって、どうすれば

    たまたまなのだが、年末年始は、ジュディ・ダットンの「理系の子」とトーマス・カリアーの「ノーベル経済学賞の40年」を並行して読むことになった。前書の全米科学オリンピックを目指す子供たちの真実探求と問題解決にかけるひたむきさと、後書の「経済学は、そもそも何を発見したのか、何の役に立つのか」という根源的な疑念に貫かれた内容は、痛烈なほど対照的だった。 筆者も若い頃は、「常識的な知見を数式にしただけで、何がおもしろいんだ」と感じていたので、カリアー先生の疑念はもっともに思える。唯一、ケインズの「合成の誤謬」に触れたとき、「あぁ、この人は天才だ。現実の中に常識を超える知見を探し出してこそ、真の学問というものだろう」と感じた。そして、いまだ経済学は、これを超える「発見」をしていないのではなかろうか。 こうなってしまったのは、個々の利益の追求が最大効率をもたらすとする「経済学」が、政府の介入や規制を否定

    経済学を人類に役立てるために - 経済を良くするって、どうすれば
  • アコードの行方と予算編成 - 経済を良くするって、どうすれば

    英語でアコードと言うと、協調する、調和させるという意味である。目標を共有し、為すべきことをお互いに決めることであって、政府が中央銀行に特定の金融政策を命じるというものではない。2%の物価上昇率を目指して、安倍政権が日銀に緩和を求めるのは良いとして、その一方、政府は何をするつもりなのか。いつものごとく、来年度予算を前年並とし、「成長の足を引っ張ります」というのではあるまいね。 ……… 1%の物価目標を達成するだけでも、名目3%成長は要る。この時、政府の歳出が3%増えるのだったら、成長に対しては中立だ。前年並でゼロ%増なら、政府が伸びなかった分を、民間が3%以上伸ばして補わないと達成できないことになる。日では、こんな簡単な理屈も解されず、「デフレは脱したいが、財政は緊縮で」という無理を、誰も疑問視しない。 国の一般会計は約90兆円だから、その3%は2.7兆円である。この分を「成長戦略」なり、

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