社会学者ベッカーがラベリング理論で明らかにしたことですが、ひとたびレッテルを貼られた人は、そのレッテルのもとにアイデンティティを確立するようになります。「不良」というレッテルを貼られると、「どうせ自分は不良だから」となって、その方向に進んでしまうのです。ゆとり世代というレッテルを貼られた若者たちの中には、それによって自分に自信が持てなくなるということが実際に起きています。 私がある専門学校の先生たちに講演をしたときに、ある若い先生が「私はゆとり世代で自信が持てない。こんな自分が先生でいいのか? 生徒たちに申し訳ない」と発言しました。同じ話はある自営業の2代目社長からも聞きましたし、幼稚園や学校の先生たちの研修会でも聞いたことがあります。 もう1つの危険性は、安易なレッテル貼りをする人は、それでわかった気になり、観察力や思考力が鈍る可能性があるということです。これが自分の仕事や人生にとっても