同会議には斉藤邦吉・厚生相のほか、岸信介・元首相や人口問題の識者が勢ぞろいしました。作家の小松左京氏や画家の岡本太郎氏も講演しています。 当時、大学院生だった私は3日間の会議をすべて傍聴して、今でも当時の資料を保管しています。ただ、講演した政府関係者や研究者の大半は亡くなってしまいました。振り返ると当時の論調には隔世の感があります。 ―― それからおよそ35年で日本の人口動態は大きく変わりました。 1980年代から合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推計される子どもの数)は減り続けているのに、政府は1990年代まで何もしてきませんでした。政策の転換が遅れたと言ってもいい。 1989年に合計特殊出生率が1.57まで急落して少子化が社会問題となり、政府が動き出したのはこの後です。1991年にようやく育児休業法が制定されました。 出生率が回復しても人口は減る 政府は様々な少子化対策を講じてい