財務省内の日本税関労働組合が、国会議員をはじめとする関係各所に「職員の増員」を要望している。同労組は、税関職員の7割で組織する団体。要望の内容をみると、かなり深刻な状況であることが分かる。 税関職員の数は平成26年頃まで8,700人ほどを保っていたが、平成27年から増員され、平成30年度末の税関定員は9,408人となっている。それでも人手不足は解消されず、事態は悪化する一方だという。「観光先進国」を掲げる安倍晋三政権だが、裏で何が起きているのか――。 ■訪日客増加に追い付かぬ対応 人手不足の原因は、政府が国策として掲げている訪日外国人旅行者の激増だ。平成21年には678万人だった外国人旅客数が、平成31年には3,600万人と、10年間で5倍以上に増えた。 税関職員一人当たりの対応旅客数は、平成21年が778人であったのに対し、平成31年では3,743人にまで増加。X線検査装置や麻薬探知犬な