東京都の小池百合子知事は19日の定例記者会見で、衆院東京15区補選(28日投開票)について「これまで経験したことがない選挙妨害が発生している。非常に憤りを感じている」と述べた。 小池氏は同補選で無所属候補を支援している。小池氏は、この候補の街宣車の前に他候補の街宣車が入り込み「選挙スタッフが命の危険を感じる場面があった」と指摘。18日には選挙区外にある小池氏の自宅前に他候…
教科書検定で指摘を受けた申請段階の令和書籍の教科書。「現存する世界最古の国家は、我が国なのです」という記述は改められた=東京都千代田区で2024年、宮武祐希撮影 文部科学省は19日、2025年度から中学生が使う教科書の検定で「未了」となっていた社会の歴史の2点について、合格にしたと発表した。過去4回にわたり不合格とされた「令和書籍」の教科書で、日本を「現存する世界最古の国家」とした記述など100カ所以上を修正して検定を通過した。 同社は多くの欠陥を指摘されたこれまでの申請図書を「文部科学省検定不合格教科書」と銘打ちネットなどで販売してきた。保守色の強い中学の歴史教科書は、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した自由社版や、育鵬社版などがあるが、文科省によると、24年度の需要に対するシェアは両社合わせて約1%にとどまる。 「令和書籍」の社長は作家の竹田恒泰氏。21年度検定版として販
福岡県糸島市の直売所「伊都菜彩」で漬物を並べる生産者=福岡県糸島市で2024年2月14日午前9時33分、田崎春菜撮影 毎日の食卓を彩ってきた漬物が危機にひんしている。食品衛生法の改正に伴い、6月から漬物の販売に保健所の「営業許可」が必須になるためだ。厳しい衛生基準が求められ、生産者の多くを占める小規模事業者や個人事業者は設備投資をする余力はなく、廃業する事業者が続出する懸念が指摘される。地域ごとに多様な作り手に支えられた漬物文化はどこにいくのか。 「自分が作った漬物が売れればうれしい。生きがいの一つです」。農協が運営する直売所としては日本一の売り上げを誇る「伊都菜彩」(福岡県糸島市)の漬物コーナーには、ぬか漬けや福神漬け、キムチなど農家ら30人近くが出品する100品ほどの漬物が並ぶ。2月の開店前に、手作りの梅干しや大根の漬物を出品していた市内の70代女性はそう充実感を口にした。
米大リーグの開幕戦を前に開かれた記者会見を終え、会場を後にするドジャースの大谷翔平(中央)と通訳の水原一平氏(左端)=ソウルで2024年3月16日、AP 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(29)の通訳を務めてきた水原一平氏(39)の違法賭博疑惑に関する報道でスポーツ賭博に注目が集まっている。日本国内ではスポーツの「賭け」は極めて限られた範囲で認められてきたが、近年は全面解禁に向けた動きもある。識者はリスクを踏まえた議論の重要性を指摘している。 日本の刑法は賭博も、賭博場を開くことも禁じており、公営の競馬や競艇、宝くじなどに限られる。その中で、2001年3月に販売が始まったスポーツ振興くじ(toto)は1998年にできた「スポーツ振興投票法」に基づいて不正防止を徹底し、収益金をスポーツ振興助成金とすることで例外的に認められた。当初対象はサッカーJリーグのみで、22年からはバスケットボール
経済産業省は5日、全国で減少する書店の振興に専門的に取り組む省内横断のプロジェクトチームを設置したと発表した。カフェの併設やイベント開催で集客するといった各書店の工夫をまとめ、他店と事例を共有することで経営に役立ててもらう。 斎藤健経産相は同日の閣議後記者会見で「書店は近年激減し危機感を持っている…
埼玉県には12の男女別学公立高校がある。筆者はそのうちの一つ県立浦和高校(男子校、略称・浦高)の出身だ。共学校と別学校の併存体制を変え、男子校を廃止する動きがある。 <県立高校の男女別学校に対し、県男女共同参画苦情処理委員が「共学化の早期実現」を求める勧告を出したことを受け、別学校の保護者や卒業生から、勧告内容の説明不足を指摘する声が上がっている>(2月16日「毎日新聞」電子版) この関連で、1月27日、浦高で県教委による浦高同窓生からの意見聴取会があったので筆者も参加した。その場で表明された意見には賛否両論があったが、主流は共学校、別学校が併存する体制を維持すべきだというものだった。浦高同窓会も去年12月に現制度を維持すべきだとの意見書を提出している。 別学公立高校廃止に向けた動きは2023年8月30日に埼玉県男女共同参画苦情処理委員が同県教育委員会教育長に勧告書を提出したことを契機に具
経団連・ダイバーシティ推進委員会の魚谷雅彦委員長(資生堂会長、手前右)は、加藤鮎子女性活躍担当相(奥中央)に選択的夫婦別姓の導入を要望した=東京都千代田区で2024年1月17日午前8時10分、町野幸撮影 「ビジネスにも女性活躍にも悪影響が出ている」――。結婚後も希望すれば従来の名字(姓)を本名にできる「選択的夫婦別姓」制度の導入を目指して経済界が動き出した。結婚後は旧姓を「通称」としてしか使えない日本独特の制度は、国際化が進むにつれて限界が見え始めているためだ。 世界では異質「夫婦同姓制度」 「国際的に活躍される方のキャリア形成の阻害要因となっている。海外の訪問先でアイデンティティー(本人証明)が一致せず、締め出されることもある」 1月17日、東京・千代田区の経団連会館で開かれた経団連と加藤鮎子女性活躍担当相との会合で、経団連・ダイバーシティ推進委員会の魚谷雅彦委員長(資生堂会長)は「選択
牛肉のサンドイッチなど南米料理を販売する「サボールラティーノ」=愛川町で2024年1月26日午後3時7分、田中綾乃撮影 神奈川県央地域に位置し、人口4万人に満たない愛川町。だが、外国籍住民の割合は約8%と県内市町村の中で最も高い。山間の小さな町に多くの外国人が住むわけは――。町を歩くと、課題も見えてきた。 2023年10月時点で同町の外国籍住民は約3300人。出身国別では、ペルー(697人)、ベトナム(473人)、ブラジル(456人)の順で、4位以降も南米や東南アジアが目立つ。 町は、役場窓口にスペイン語とポルトガル語の通訳職員を置いたり、112言語に対応する翻訳タブレットを導入したりするなど、外国人の相談業務の質の向上を図っている。スペイン語など10言語の母子手帳を交付するほか、病院での診療時に医療通訳を派遣する制度も設けている。
インドネシアから「特定技能」の在留資格で来日し、鹿児島県内の農園で働いていたイスラム教徒の女性が退職した。女性はヘジャブの着用を禁止された上、労働環境が過酷で「限界だった」と証言した。これに対し、農園の運営会社社長は2023年12月、毎日新聞の取材に「訴えたいのは私たちのほうだ」などと反論した。社長との主な一問一答は以下の通り。【平塚雄太】 ――女性はイスラム教で顔や後頭部を隠すヘジャブを着けるなと言われたのがつらかったと話しています。 ◆それをかぶっていると、(農作業をする上で)ちょっと視野が狭くなる。農業機械も使っている中で(指示が)聞こえない時もある。それで一応、日本にいる時だけはやめなさい、取っておいた方がいいよという話をした。 ――業務中だけでなく、社員旅行中もつけるなと言われたそうです。 ◆私はその旅行には行ってない。ちょっとそれはわからない。 ――女性は、創業者の娘さんたちか
大学入学共通テスト初日を迎え、会場となった東京大の試験室内で試験に臨む受験生たち=東京都文京区で2024年1月13日午前9時12分、前田梨里子撮影 年が明け、本格的な受験シーズンが到来した。大学入学共通テストが終わり、国公立大の入試(2次試験)は2~3月に実施される。 そんな中、「東京大が入試で女性枠の設置を検討しているらしい」といううわさを耳にした。 女性枠の設置は、特に女子学生が少ない理工系の大学中心に導入が進んでいる。名古屋大工学部などが既に導入、2024年度の入試からは東京工業大や東京理科大でもスタートする。 もし日本の最高学府で女性枠が設置されれば、そのインパクトは大きく、さらに広がるきっかけになるのではないか。真相を探るべく、提案者だという教授を訪ねた。 それは、意外な人物だった。 脳研究者の池谷裕二・東大薬学部教授だ。テレビ番組「情報7daysニュースキャスター」のコメンテー
行政機関が管理する膨大な数の「文字」がデジタル改革を阻んでいる。字形がわずかに異なる文字も含め、戸籍だけで約70万字。岸田文雄政権は自治体の情報システムを効率化するため、約7万字に絞り込む計画だ。だが、人によっては名前の漢字が変わる可能性があり、慎重論もくすぶる。文字を決めるのは誰なのか――。 スマホに表示できない 「スマートフォンやパソコンで表示できない文字がある。魑魅魍魎(ちみもうりょう)とした世界だ」 デジタル庁幹部は、戸籍などで使われてきた文字の特異性をそう表現し、「自治体システムを複雑にし、ガラパゴス化させた元凶だ」と言い切った。 政府は、自治体ごとに仕様がばらばらな戸籍や住民基本台帳、国民年金など20業務の情報システムを2025年度末までに標準化する方針を掲げている。 人口減少で公務員の確保が難しくなる中、システムの効率的な運用で行政サービスの質を維持する目的だ。多すぎる文字を
地域のもめごとがSNSでクローズアップされ、「炎上」するケースが相次ぐ。「都市と田舎」「若者と高齢者」などの単純化した構図のみが強調され、他の要因は顧みられない。背景には何があるのか。過疎地域の課題に詳しい徳島大の田口太郎教授(47)=地域計画学=に聞いた。 ――香川県まんのう町の交流施設からおもちゃが撤去されたというニュースをインフルエンサーがSNSで拡散し、住民が批判にさらされました。地方のトラブルが炎上するケースが目立ちます。 ◆SNSの普及で昔は地域内にとどまっていたもめごとが広く発信され、無関係の人の目にも触れるようになりました。特に地方のネガティブな話題は拡散し、たたかれやすい傾向にあります。都市との対立構図なら田舎、若者との対立なら高齢者に批判が集中していますが、根底にあるのは相互理解の欠如です。
廃校を活用した交流施設「ことなみ未来館」。週末は、ボランティア団体が運営する木のおもちゃで遊べるスペースなどを目当てに親子連れが訪れている=香川県まんのう町で2023年12月9日、大西岳彦撮影 2023年春、香川県の山あいにある過疎の町が思わぬ形で注目を集めた。発端は多くのフォロワーを持つインフルエンサーのひろゆき氏が地元テレビ局のニュースを引用し、SNS(ネット交流サービス)でつぶやいたことだった。 「子供に人気の町の交流施設『ことなみ未来館』 子供が来ないようにおもちゃと漫画を撤去」 施設はまんのう町の廃校舎を活用し、町と指定管理契約を結ぶ一般社団法人が運営していた。それが年度末で契約を事実上打ち切られ、キッズスペースも撤去されたという。SNSではニュースの中で町の担当者が「子供が遊び回り、高齢者が『入りにくい』という声がある」と説明した部分が切り取られて拡散した。 私たちは尊重すべき
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