タイの政治的混乱をできるだけ簡単に解説したいと思います。 1997年7月に起こったアジア通貨危機によって、タイは深刻な経済危機に襲われました。 その後、タイはIMFの管理下に置かれながら、緊縮財政政策などで乗り切りましたが、株価下落、倒産、失業などで農村部や都市部の中間層にまで不満が高まりました。 その不満をうまく汲み取って2001年の選挙に勝利したのが、タクシン元首相です。タクシン元首相は、警察官僚出身ですが、携帯電話ビジネスなどで成功した実業家で、当時は「経済がわかる実務政権」が売りでした。その方法は、企業家的手法と共に、大衆の要求に直接応えようとするポピュリズム的手法でした。 タクシン氏は、次の2005年選挙で圧勝して再選を果たしました。この圧勝を背景に、抜本的な行政改革に着手しようとした時から、タイの政治紛争がにわかに大きくなり始めました。 この政治紛争をどう評価するかは、立ち位置