甲府市中央の中心商店街に毎晩散歩に訪れる1匹の犬がいる。 近くで理髪店を営む依田正雄さん(57)が2年ほど前から飼っているメスの「サモエド」で、名前はナナ。体長1メートル20、体重35キロ・グラムの大きな体は真っ白でふさふさの毛で覆われ、大好物の氷をほおばる姿はまるでシロクマのよう。愛くるしい表情で愛嬌(あいきょう)を振りまき、人々の疲れを癒やしている。 「きゃー、ナナちゃんだ」「シロクマちゃん」「ちょっと店に寄ってけし」「また来てね」――。深夜の商店街にナナが現れると、スナックのホステスや千鳥足のサラリーマンらがこぞって足を止めて頭をなでる。一様に笑顔だ。近くのキャバクラで働く女性(22)は「超かわいい。仕事で疲れた時にナナを触ると癒やされる」と話す。花屋「しまだ」の店主、島田紀江さん(68)も「昨年、愛犬を亡くしたが、ナナが毎晩来てくれるからさみしくないんです」。 ナナはスナックや居酒