09年11月に発売された「筑紫哲也」(週刊朝日MOOK)には、有名無名をとわず90人を超える知己が故人との思い出を語っている。それこそが、人を財産とするジャーナリスト筑紫哲也の証ともいえるだろう。 親交の深かった歌手の井上陽水さん、副総理だった菅直人さんをはじめ、東京大学教授の姜尚中さん、作家の瀬戸内寂聴さん、音楽家の坂本龍一さん、女優の綾瀬はるかさん、樹木希林さん、政治家の辻元清美さん、評論家の寺島実郎さん、脳科学者の養老孟司さん、プロ野球選手の松坂大輔さん、歌手の中島みゆきさん、小田和正さんなど多彩な顔ぶれが彩っている。ほかにも、評論家の立花隆さんによる生前の筑紫さんへのロング・インタビューや病床でつづった日記「残日録」が収められ、筑紫さんの妻と長男がそれぞれ知られざる秘話を明かしている。 これは、自由を重んじた稀代のジャーナリストの墓碑銘である。 三回忌にあわせて、全282ページの一