〈ネタバレ注意〉 多少駆け足の印象もあったが、よくできていた青春物語だった。音楽担当がくるりで、ここで出来が倍増した感もある。 物語は、どこにでもいる普通の大学生の男の子・恒夫が、足が不自由な女の子・ジョゼとひょんなことから出会い、仲良くなっていくという話。男の子が妻夫木聡で、ジョゼが池脇千鶴。監督は大島弓子原作『金髪の草原』で池脇千鶴を抜擢した犬童一心。 ジョゼがともに暮らす祖母は、「世間様」の目を意識して幼少の頃からジョゼを引きこもらせる。そんな彼女は、明け方に祖母の押す乳母車のなかで毛布にくるまり、そっと外の世界を覗くことが日課となっている。 対して恒夫は、麻雀店でバイトをし、サークル仲間と酒飲んでバカ騒ぎするような、どこにでもいる空っぽの大学生だ。同じ大学にはセフレもおり、さらには美人の同級生も労せず寄ってくるような美男子でもある。 このふたりがたまたま出会ってしまう──。 恒夫は