以下、建築家によるテキストです。 どんなに小さな家であっても、開放的で広がりのある空間をつくりたい。 土地の細分化が進む都心の密集地では、床面積を確保するために建物を敷地いっぱいに建て、さらに床を積層することで、垂直方向にも生活の場を求めることになる。しかし積層された床によって内部は分割され、下階は上階に比べて暗くなる。また建物は通りから十分セットバックできないために通行人の視線を気にして、壁で閉ざしがちになってしまう。多くの場合、1階は玄関、駐車スペース、水回りなどに割り当てられ、住宅は街に対して閉鎖的な印象になってしまう。 そこで、家族の居場所になる居間を1階に配置することにした。また上部には床を積層せずに地面から屋根までひとつながりの吹抜けにすることで、住宅とは思えないようなスケールの空間にした。また、住み手の生活の変化に合わせて増床できるように梁を吹抜けに架けた。さらに外壁の大部分