市民と〈設計〉した公共空間 ―太田市美術館・図書館における基本設計ワークショップ― コンサルタント/プランナー:氏原茂将(うじはら しげゆき) ことのはじまり 「基本設計のポイントとなることを、ワークショップの参加者が決める」 2017年4月、群馬県太田市に開館した太田市美術館・図書館(図1)を設計した建築家・平田晃久氏が求めていたワークショップの内容である(1)。ワークショップのファシリテーターを依頼されていた私は、漠とした魅力を感じながらも考え直すことを勧めた。建築の素養のない人が公共施設、しかも美術館や図書館のように複雑な機能を持つ施設の設計を決められるとは思わなかったからだ。ファシリテーターとして責任が取れないと思ったのだが、「参加者が決める」という魅力が勝り、引き受けることとなった。 当初は成功イメージもなく、見通しを立てられなかったワークショップだったが、結果的に設計プロセスに