EPUBフォーマットに縦組みやルビなどの日本語関連機能を反映させる上で中心的な役割を果たした村田真氏の言を借りると,EPUBとは,「HTMLとCSS注1)をzipで固めただけのもの」ということになる。 では,EPUBとはWeb文書そのものなのであろうか。じつは,少し詳細に見ていくと,zipで圧縮されたHTMLやCSSのファイル群の中には,本文に相当するHTMLファイルとその視覚的表示スタイルを規定するCSSファイル以外に,下記のような情報が含まれる。 なかでも,spineと呼ばれる個々のHTMLファイルを表示する順序を指定するための要素は,Web文書一般と電子書籍の関係を考える上で非常に重要である。このspine情報(本稿では,spine要素で囲まれた情報を,やや抽象化してspine情報と呼ぶ)こそが,EPUBドキュメントと一般のWeb文書の差異を特徴づけているのではないかと,筆者は考えて