帰還兵、復員軍人の精神面の問題は古くて新しいテーマだ。戦中、戦後は日本でも問題視されたし、現代ではイラクに派遣された自衛官の中にもPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し苦しんでいる人たちがいる。 9.11米国同時多発テロ事件以降、10年以上にわたりアフガニスタン、イラクとの非対称戦争を行ってきた米国には、かなりの数の帰還兵、復員軍人が存在する。そして彼らの多くがPTSDなどの精神疾患を抱えているのだ。 米国では戦争従軍者の精神面のケア不足が社会問題となっている。この問題に関する書籍としては『帰還兵はなぜ自殺するのか』という名著が日本語に翻訳されている。 本書も彼ら帰還兵の問題を扱ったものだ。ただ、復員軍人当人の著作である点が前述の本との違いだろう。 著者トム・ヴォスは代々奉仕家の家系に生まれた。父母も祖父母も社会貢献を旨とした。トムは、陸軍に入隊し国に貢献することが、それに続く道だと思