音楽ライターの松永良平が、さまざまなアーティストに“デビュー”をテーマに話を聞く連載「あの人に聞くデビューの話」。前回に引き続き、怒髪天・増子直純をゲストに迎えてお届けする。3年間の活動休止期間の間に、さまざまな職業に就いた増子が再び歩み始めたバンド生活。音楽生活40周年を迎えた彼が語る時代を超越した信念とは? ──怒髪天が札幌から上京して、クラウンからデビューしたのが1991年。そこから事務所がなくなり、苦難の状況が続いて波乱万丈……というべきところなんですが、バイトで生活は安定し、増子さん自身も必死にあがくのではなく、クールに自分たちを見ていたという前半のお話が印象的でした。 俺は周りに過剰な期待をしないんだよ。自分が直接やってるもの以外に過度の期待をしないというのは子供の頃からあるのかな。 ──そんな怒髪天に、転機が訪れたのは? 1996年からバンドを3年休んだあとに活動再開したらす