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夫が単身赴任の家庭を襲ったコロナ禍の厳しさ 2020年4月、緊急事態宣言が発せられ、伊藤エリカ(30代、仮名)が働いているカフェが入居する商業ビルが閉じた。店は完全休業となり、伊藤は収入を断たれた。 カフェは、外食店を多角的に展開する大手企業が経営し、伊藤は1日5時間、週4~5日契約のパート社員として3年間働いてきた。勤務時間は「正午から午後5時まで」とされていたが、曜日は繁忙度や人員によって不定期に割り振られるシフト制で、月収は10万円程度だった。 10万円は伊藤の家庭にとって不可欠な生活給だった。正社員の夫は単身赴任中で、その収入は単身赴任先の家賃、食費や光熱費などの夫の生活費、住宅ローンの返済でほぼ消える。そのため、伊藤と子ども2人の生活費、保育料、そして住宅ローンの一部を、伊藤の収入が支えてきたからだ。 結婚前は飲食業界で正社員として働いていたが、結婚を機に退職した。夫に「家庭に入
シングルマザー世帯は過半数が貧困に直面 日本において子どもの貧困がどのような状況にあるのか。社会的な関心が高まる一方、全体像はわからない状況が続いていた。これまでも一部の自治体で調査が実施されていたものの、全国レベルでの調査は行われてこなかったからだ。 内閣府による今回の調査は、2021年2月から3月にかけて行われた。調査の対象となったのは全国の親子5000組で、有効回収数は2715組(有効回収率54.3%)だった。 ここでまず注目しておきたいのは、子どもの貧困調査として、子どもだけではなく保護者も対象としたことだ。親が貧しくて子どもだけが豊かだったり、その逆もまた考えにくい。子どもの貧困は、家庭の状況と密接に結び付いていることから、親の経済状況や就労状況、子どもとの関わり方などについて聞いており、対象とした子どもは中学生に限定されている。 経済的な状況については、世帯全員の年間収入(税込
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自分に正直になる習慣 フランスの哲学者アランは名言を遺している。 「幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ」 そのとおりだと思う。アクションから本質が生まれる。本質はあくまでも事後的に発生するものであって、本質という抽象はそれ単独で先行的に存在するものではない。 ぼくは中学生時代、プログラミングに夢中になった。よくわからないまま手さぐりでパソコンを使っているうちに、多彩な処理システムを構築できるプログラミングの魅力にどんどんのめり込んでいった。それがやがてビジネスにつながり、ぼくはそのビジネスでさらに成功を収めるべく野心をたぎらせていった。 要するに今日にいたるぼくのキャリアは、プログラミングとの出合いがすべてだ。プログラミングに出合わなければ、それはそれでまたまったく別のキャリアを描いていただろう。 あらかじめ目指すキャリアがあって、プログラミングに足を踏み入れたわけではないのだ。
2021年末に公表された日本新聞協会の最新データで、一般紙の総発行部数が3000万部割れ寸前まで落ち込んだことが明らかになった。 日本の新聞は高度経済成長期の1966年に3000万部台に乗り、その後は1990年代末の5000万部超まで拡大した。しかし、その後は下降を続け、部数減が止まる気配はまったくない。このまま進めば、本年中に一般紙は3000万部台を割り込むことが確実。高度経済成長以前の水準にまで落ち込むのも時間の問題になってきた。 新聞離れに一定の歯止め? 日本新聞協会が2021年12月下旬に公表した同年10月時点のデータによれば、スポーツ紙を除く一般の日刊紙97紙の総発行部数は、前年比5.5%(179万7643部)減の3065万7153部だった。20年前の2001年には4700万部、10年前の2011年には4400万部を数えたものの、今や3000万部割れが目前である。 新聞協会のデー
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ここ数十年、実質賃金が上がっていない富裕国は日本だけではない。しかし、豊かな国の中で賃金の上昇率だけではなく、賃金自体が下がっているのは日本だけである。 成熟国では、賃金は、100年以上GDPとほぼ同じ割合での成長をしていたが、その傾向も最近はなくなってきている。1995年から2017年の間に、生産性、すなわち労働時間あたりのGDPは豊かな11カ国で30%成長した。しかし、実質的な時間当たりの報酬(賃金+福利厚生)は、その半分の16%しか伸びていない。 日本の状況は「衝撃的」 日本の生産性の伸びは30%と、他国と同じだったが、労働者の賃金は1%減少している。日本の労働者の賃金が最近まで他国の労働者のそれよりも国民所得に占める割合が高かったことを考えると、この状況は特に衝撃的だと言える。 このような賃金上昇率の低迷は、歴史的にも経済理論的にも説明がつかない。何十年もの間、経済の教科書には、市
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千葉県の幕張メッセで11月24〜26の3日間にわたって開催された「鉄道技術展」。国内唯一の鉄道技術に関する総合展示会で、今回が7回目。コロナ禍の中での開催となったが多くの来場者で賑わった。 ドイツの大手ブレーキメーカー、クノールブレムゼのブースに設置された実物大の鉄道車両モックアップなど目玉展示は数多いが、中でも来場者の度肝を抜いたのが、日本信号のブースに展示されていた高所作業用の人型ロボットである。 腕の長さは1.4m。体の幅は1.7mなので両腕を伸ばすと4.5mになる。足はなく、腰からの高さは1m。重量は650kgある。頭に相当する場所にはカメラが取り付けられており、これで空間を認識し、アームを使って作業を行う。離れた場所に設置されたコックピットに作業員が座ってロボットを操縦する。 汎用人型重機「零式人機」 このロボットの名前は「零式人機 ver.1.1」。日本信号、JR西日本、そして
なぜインドでIT産業が盛んになったのか インドといえばIT産業と思われる方も多いだろう。インドといえば貧困というのが、私がインドに行き始めた1990年代ぐらいまでの一般的なイメージだったから、ずいぶんと地位向上したものである。 インドでIT産業が盛んになった理由として、まったく新しい産業なのでどんなカーストの出身者でも活躍できるから、という理屈を日本でも何度か耳にしたことがある。実際インドのIT産業自体が「カーストなどの出自とは無関係に個人の能力のみが評価される」と自己定義してきたのだから、日本人がそう思っても不思議ではない。 では本当に低カーストやダリト出身の人たちもIT産業で活躍しているのだろうか? インドのIT産業は、1980年代にアメリカのシリコンバレーで働いていたインド人ソフトウェア技術者たちが母国に戻り、アメリカの企業の下請け的な仕事を安価で請け負い始めたことに始まる。 199
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今最も人気の高い料理家の1人、山本ゆり氏はあるモヤモヤを抱えている。それは、テレビなどのメディアから取材を受ける際、プロフィールに「主婦」と入れられることだ。 累計発行部数700万を超えるレシピ本シリーズ『syunkonカフェごはん』の著者で、料理コラムニストを名乗る山本氏の活躍ぶりは目覚ましい。ツイッター、インスタグラムのフォロワーはそれぞれ100万人超え、料理レシピ本大賞でもたびたび入賞し、今年はエッセイ集とレシピ本のダブル受賞をしている。 「料理家」というキャリアを築いているにもかかわらず、いまだに主婦の延長線上にある仕事と捉えられるのはなぜなのか。平成を代表する料理家、栗原はるみ氏と、デビュー10年で人気料理家に成長した山本氏を比較しながらその理由を考えてみたい。 「カリスマ主婦」と紹介されることも 10年前に結婚し、3人の子を持つ山本氏は、単に「主婦」と書かれるだけでなく、「カリ
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