取り戻したい 猛烈な衝動が何かの節目であるかの ように時折ぼくを襲う 身体でそれに抗うかのように きまって僕は香水瓶を飾る棚に手を伸ばす 三桁はあるその中から 取り戻すべき時代に気に入った 香水をその入れ物の形と色で 瞬時に的確に探り当てる 蘇る気分の輪郭は 思いの外くっきりとしている しかしエピソードに纏わる 言葉はきっと現在(いま)の自分に ちょうどよく脚色されているように思える 感情は魔物だ あのような悪魔の前では 正しさは寸分の価値も持たない 取り戻したい 前にしか進まない時間軸の中で 価値のバイアスは危険すぎる 背後にある執着のように見えるもの エゴサに憑りつかれた瓦礫にも似た 醜悪さとだからこそ妖しい色香のある 唾棄すべき拘り そこでは音楽は色を失い 偽物のカラーフィルターが シークエンスを体裁よく収めようとしている その歪みを修正させてくれるはずの 瓶に閉じ込められた液体さえ
![やがて真理は - 心揺々として戸惑ひ易く](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/42b3176249e1630635ac0db554384992f4865283/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F21rrsZLai0L._SL160_.jpg)