去年(2008年)、国書刊行会から出た本。おもに戦前に出た異色の訳詩集を五つ集めてある。 「恋人へおくる」(矢野目源一、昭和8年、第一書房) 「ヴィヨン詩抄」(城左門、矢野目源一、昭和8年、椎の木社) 「夜のガスパァル」(西山文雄、城左門、昭和7年、第一書房、のち増補) 「古希臘風俗鑑」(矢野目源一、昭和4年、第一書房) 「巴里幻想集」(日夏耿之助、昭和26年、東京限定本倶楽部) これらのうちで私がいちばん「おお!」と思ったのは「ヴィヨン詩抄」。これはどんな古本屋でも見かけたことがなかった。ヴィヨンは私の偏愛する詩人で、その全作品(隠語のバラッド含む)を原文で読んだ外国の詩人は彼以外にはいない。その詩人の幻の訳詩集が入っている、というのであわてて図書館に予約を申し込んだ。さすがにこれだけのために本一冊を買おうという気にはなれないので。 しかし、その他の訳詩集もそれぞれ特色のあるすばらしいも