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2009年7月31日のブックマーク (13件)

  • 「巴里幻想訳詩集」 - 両世界日誌

    去年(2008年)、国書刊行会から出た。おもに戦前に出た異色の訳詩集を五つ集めてある。 「恋人へおくる」(矢野目源一、昭和8年、第一書房) 「ヴィヨン詩抄」(城左門、矢野目源一、昭和8年、椎の木社) 「夜のガスパァル」(西山文雄、城左門、昭和7年、第一書房、のち増補) 「古希臘風俗鑑」(矢野目源一、昭和4年、第一書房) 「巴里幻想集」(日夏耿之助、昭和26年、東京限定倶楽部) これらのうちで私がいちばん「おお!」と思ったのは「ヴィヨン詩抄」。これはどんな古屋でも見かけたことがなかった。ヴィヨンは私の偏愛する詩人で、その全作品(隠語のバラッド含む)を原文で読んだ外国の詩人は彼以外にはいない。その詩人の幻の訳詩集が入っている、というのであわてて図書館に予約を申し込んだ。さすがにこれだけのために一冊を買おうという気にはなれないので。 しかし、その他の訳詩集もそれぞれ特色のあるすばらしいも

    「巴里幻想訳詩集」 - 両世界日誌
  • ヴィヨンの詩の解釈について - 両世界日誌

    先日ふれた「巴里幻想訳詩集」の月報に、南條竹則という人がヴィヨンの有名な「疇昔の美姫の賦」の末尾の四行詩(いわゆる反歌)について書いている。ここで南條氏が褒めている日夏耿之介の訳がすぐれたものであることは私としても異存はないが、それはそれとして、この四行詩はいったいどういう意味なのか、といわれれば、だれもはっきりとは答えられないのではないか。 ロセッティの英訳をもとにした南條氏の訳はこうだ。 さなり、この週に、うるはしき我が君よ、 かれらいづくにゆけると問ふなかれ、またこの年に、 問はんとならば、だたこれをひとつ歌にも繰返せ── されどいづくにありや、去年の雪は、と。 これで意味わかります? ちなみにこのに入っている他の訳をみると、 きみよ、このひとまはり、またこの年も そのかみのひとはいづこと 問ひたまふともこの折返しうた 去歳降りし白妙の雪はいづこぞ (矢野目訳) 覯(み)るひとよ、

    ヴィヨンの詩の解釈について - 両世界日誌
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    inmymemory 2009/07/31
    ヴィヨンの有名な「疇昔の美姫の賦」の末尾の四行詩の訳の比較
  • 「ピブラック」について - 両世界日誌

    きのうの日記はあまりのばかばかしさに削除してしまったが、そこで言及したピエール・ルイスの猥褻詩「ピブラック」について検索してみると、なんと、この長大な詩を訳してブログで公開している人がいた。しかも念入りに韻まで踏んで。よくもやったな、と感心するが、訳詩そのもののできばえについては無条件で賞賛をおくるわけにはいかない。 リンクはこちらから→http://love.ap.teacup.com/applet/pybrac/archive?b=240 さて、「ピブラック」を書いたルイスの意図はなんだったのだろうか。サド侯爵やクラフト=エビングみたいに性倒錯の総目録をつくろうとしたのだろうか。そこまでいかなくても、少なくとも世紀末のパリにおける性風俗を総括してみたい、という意図だけはもっていたのではないか。それがルイスの個人的な体験を反映したものか、あるいはたんに頭のなかで妄想しただけのものかはべつ

    「ピブラック」について - 両世界日誌
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    inmymemory 2009/07/31
    「ドゥーズ・ドゥーザン・ド・ディアログ」/"サド侯爵やクラフト=エビングみたいに性倒錯の総目録をつくろうとしたのだろうか。そこまでいかなくても、少なくとも世紀末のパリにおける性風俗を総括してみたい、とい
  • ボードレールの新訳にふれて - 両世界日誌

    anatorさんのおすすめに従って「ボードレール、マイヤー、ペイター」を買う。ネット古書で500円だった。 これには「悪の華」の新訳(といってもすでに20年以上も前のものだが)が入っている。おまけ(?)とはいえ、ボードレール愛好家としては読まないわけにはいかない。 で、私のとくに好きな詩篇をいくつか選んで読んでみた。 感想はといえば、ああ、やっぱりなあ、という感じ。 あるいは、ついにここまできたか、という感じ。 どっちにしろ、ここには《わが》ボードレールはどこにもいない。 ウーム…… ボードレールのこの詩集が出たとき、ヴィクトル・ユゴーは「新しい戦慄」の創造者として著者をほめたたえた。新しいかどうかはともかくとして、「戦慄」抜きのボードレールなんて気の抜けたビール以下のものでしかない。 この安藤訳を読んでそんなぞくっとするような詩句に出会うことがはたしてあるだろうか。 ボードレールはここに

    ボードレールの新訳にふれて - 両世界日誌
  • 両世界日誌

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    inmymemory 2009/07/31
    アルベール・サマン「淫欲」訳 cf. http://d.hatena.ne.jp/SerpentiNaga/20090530
  • 高橋康成 「愛と死」 - Where Sweetness and Light Failed

    http://en.wikipedia.org/wiki/Star-crossed "star-crossed"というのは「星回りの悪い」という意味の形容詞。『ロミオとジュリエット』のプロローグで使用されていることで有名だが、他の使用例については知らなかった。面白い項目だと思う。 http://jp.youtube.com/watch?v=JFhkhRZhDas Take Thatの"Patience"2006年の曲。アイドル・グループ(?)とは思えないほどクオリティの高い名曲。 http://www.youtube.com/watch?v=6Calt6ZYS8o Flowの"Colors"コードギアスのテーマ曲。Flowというと「贈る言葉」のイメージしかなかったけど、この曲はとても良いなあと思う。 今年、初読したの中で特に印象に残ったものを20冊列挙します。これは決して個々のの価値を

    高橋康成 「愛と死」 - Where Sweetness and Light Failed
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    inmymemory 2009/07/31
    "ロマン主義の恋愛詩を批判的に論じたもの"
  • Six Metaphysical Poets - for dust you are and to dust you will return

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    inmymemory 2009/07/31
    "エリオット研究者である著者が書く形而上詩人論は、なぜエリオットが形而上詩人を評価したかという理由を明確に示しており、その意味でも興味深い"
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  • 『パリの憂愁』 ボードレール : epi の十年千冊。/ウェブリブログ

  • 詩集

    立原は、軽井沢を愛し、建築と詩にその才能が期待されながら、澄んだ魂のまま「五月の風を ゼリーにして持ってきてください」の言葉を残して二十四歳という若さでこの世を去りました。 室内楽にも似た、ソナチネの調べを運ぶ詩からあふれでる抒情の響きは、青春の光芒を永遠に灼きつけ、時代を越えて今なお輝きを失わず、人々に愛唱されています。 1997年には東京大学弥生門前に「立原道造記念館」が、2004年には、さいたま市別所沼公園に、立原の設計した「ヒアシンスハウス」が建設され、彼の夢の一つが実現しています。 1914年(大 3)、東京日橋に生まれる。東京府立第三中学校、旧制第一高等学校を経て、 1934年(昭 9)東京帝国大学工学部建築学科入学、この夏、初めて軽井沢を訪問、以後、毎夏信濃追分に滞在。一高時代より堀辰雄に兄事、大学入学後は堀の主宰する「四季」の編集同人となりました。大学在学中、建築学科の辰

  • 名詩の林

    名詩の林◆出身別 ◆1960〜 ◆参考リンク ◆没年順 北村透谷  1868-1894 永野用無  1877-1898 ■1900-1919 大西 祝  1864-1900 松岡荒村  1879-1904 末吉安持  1887-1907 国木田独歩 1871-1908 山川登美子 1879-1909 表 棹彰  1891-1909 大和田建樹 1857-1910 大塚楠緒子 1875-1910 一色醒川  1877-1910 大塚甲山  1880-1911 前田翠渓  1880-1911 渡久山水鳴 1884-1911 石川啄木  1886-1912 大貫晶川  1887-1912 岩崎 正  1886-1914 平木白星  1876-1915 田中恭吉  1892-1915 草野民平 1899-1915 夏目漱石  1867-1916

  • 島崎藤村 「椰子の実」 - 蟹亭奇譚

    椰子の実 名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子(やし)の実ひとつ 故郷(ふるさと)の岸を離れて 汝(なれ)はそも 波に幾月 旧(もと)の樹(き)は 生(お)いや茂れる 枝はなお 影をやなせる われもまた 渚を枕 ひとり身の 浮寝の旅ぞ 実をとりて 胸にあつれば 新たなり 流離の憂い 海の日の 沈むを見れば たぎり落つ 異郷の涙 思いやる 八重の汐々 いずれの日にか 国に帰らん 島崎藤村というと山の人というイメージがあるが、実は海の風景をうたった抒情詩を多数発表している。仙台など海の近くに住んだこともあるし、また海辺を旅したこともあったのだろう。 有名な 「椰子の実」 は明治33年に発表されたもの。当時は小諸に住んでいたので、海とは程遠い環境である。この詩は、愛知県伊良子崎に流れ着いた椰子の実を見たという柳田國男の話に着想を得て書かれたと言われているが、他の写実的な詩とちがって、ほとんど想

    島崎藤村 「椰子の実」 - 蟹亭奇譚
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    inmymemory 2009/07/31
    同様に故郷を詠った 藤村の「小諸なる古城のほとり」も好きです。トラバ記事書こうかとも思ったけど、ネタがなかった
  • 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 - 蟹亭奇譚

    島崎藤村は明治32〜38年を信州小諸で過ごした。『千曲川のスケッチ』 は明治33年から書き綴った写生文(スケッチ)を書き直して、明治44年に発表したものである。 書の冒頭 「序」(「大正元年冬」と書かれている) は以下のように始められている。 敬愛する吉村さん――樹(しげる)さん――私は今、序にかえて君に宛てた一文をこの書のはじめに記すにつけても、矢張(やっぱり)呼び慣れたように君の親しい名を呼びたい。私は多年心掛けて君に呈したいと思っていたその山上生活の記念を漸(ようや)く今纏(まと)めることが出来た。 樹さん、君と私との縁故も深く久しい。私は君の生れない前から君の家にまだ少年の身を托して、君が生れてからは幼い時の君を抱き、君をわが背に乗せて歩きました。 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 序 この書き出しを読んで、僕は新約聖書の以下の一節を思い起こした。 神のみ旨により、キリスト・イエス

    島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 - 蟹亭奇譚
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    inmymemory 2009/07/31
    第二テモテ第1章3~4節は昔ラブレターに引用したことがあるYO。