[amazon] 皇帝ネロンが寝ている部屋の戸口で番をするかのように待っていたのは、ネロンの母・アグリピーヌ。自室に戻るように言われたアグリピーヌは、自分が日一日と邪魔者にされつつあること、ネロンがとうとうブリタニキュスに向かって牙をむいたこと、そしてブリタニキュスの恋人・ジュニーをかどわかしたことを、腹心の侍女に向かって訴えます... という「ブリタニキュス」。 ベレニスに密かい会いにきたのは、コマジェーヌの王・アンティオキュス。彼は以前からベレニスを愛しており、しかしベレニスと皇帝ティチュスが相思相愛のため、口を閉ざしたまま、この5年間ローマに滞在していました。しかしティチュスが皇帝に即位し、とうとうベレニスを妃にするつもりだということを聞き、ベレニスに別れを告げに来たのです... という「ベレニス」。 ラシーヌの、古代ローマを舞台にした悲劇2つ。「ブリタニキュス」では、皇帝「ネロン」
「最近どこかでこれとよく似た話を…」 と思ってたら、ポニョでした(^v^) 「崖の上のポニョ」は人魚姫がもとにあるそうで、 人間の少年に恋して、ポニョがだんだんヒトの形になっていき、 人間になる代わり、魔法を失う。 少年の名前が、漱石「門」の主人公と同じ「宗介」で、 駿氏の少年期のような姿で描かれてて、 一方、ポニョは、ワルキューレの魔女の長女と同じ、 「ブリュンヒルデ」と呼ばれていました。 魔力で町が水没してしまうのですが、 「沈鐘」も、「水没」というモチーフが隠れた鍵かもしれません。 「沈鐘」…沈める鐘、というと、ドビュッシーの名曲「沈める寺」を思い出します。 あの曲は、ケルトの伝説「イースの都」がもとになっている。 名君の誉れ高き王は、あるとき溺愛した妾ダユーのために、イースの都を作る。 都は、水門によって干拓し、海底を大地としたもの。 ダユーは、イースを快楽と欲望の都とし、一夜をと
[amazon] ローマ帝国の五賢帝の1人、皇帝ハドリアヌスももう60歳。死病に侵されるハドリアヌスがマルクス・アウレリウスに宛てた手紙。そしてそこで語る自らの生涯。 フランスではこの作品の影響で、ハドリアヌス帝が一番人気がある皇帝となったのだそうです。それもなるほどと納得させられてしまうような、無駄がそぎ落とされた美しい文章で構築されていく、静謐で高貴な世界でした。狩とギリシャ文化を愛したハドリアヌス。ヒスパニアに生まれ、ローマで教育を受け、青年時代に軍隊生活が始まり... ハドリアヌスにとっては聡明な守護神だったトライアヌスの妻・プロティナの存在。即位。粛清事件。そして帝国内を視察する旅から旅の生活。塩野七生さんの「ローマ人の物語 賢帝の世紀」(感想)に登場するハドリアヌスとは、ほんの少し印象が違う、でもどちらにも共通しているのは、間違いなく賢帝だったということ。何といっても皇帝在位中
[amazon] フランス軍が敗北し、プロシャ軍がルアン市に入場。プロシャ軍は厳しい軍規によってこの町を支配するものの、噂になっていたような残虐行為をここでは一切せず、ルアン市民も徐々に平生の姿を取り戻します。ドイツ軍将校のつてを利用して司令官から出発許可証をもらい、10人が大きな乗合馬車で一緒にディエップに向けて出発することに。ブドウ酒問屋を営むロワゾー夫妻、上流階級に属する大物のカレ=ラマドン氏夫妻、ユベール・ド・ブレヴィル伯爵夫妻、修道女2人、共和主義者のコルニュデ、そして太った娼婦... その体つきからブール・ド・シュイフ(脂肪のかたまり)と呼ばれている女性でした。 乗合馬車に乗り合わせた10人の作りだす1つの世界。他にも登場する人間はいますが、中心となるのはあくまでもこの10人だけ。しかしここには、1つの完全な世界が作り出されています。 一言で言ってしまえば、とても嫌な話。そして
[amazon] 去年、演劇研究所の招きでスウェーデンを訪れた時のこと。その晩、案内役のヨハンソン夫人に連れて行かれたのは王立図書館でした。夜の11時頃に図書館に入った「私」は、その一晩を一人っきりで図書館の中で過ごすことになります。そして、その図書館で私が見つけたのは、かの有名な「死者の百科事典」。「私」は2ヶ月前に亡くなった父に関すること全てが書かれている本を見つけ、読みふけることに... という表題作「死者の百科事典」他、全9編の短篇集。 先日読んだ、同じくダニロ・キシュの「砂時計」は、実はとても読みにくくて、もうどうしようかと思ったほどだったんですけど(挫折寸前でした)、でも読み終えてみればすごく印象に残る作品だったんですよね。こちらも全てを理解したとは言いがたいし、短編は苦手なので途中で集中力が途切れてしまったりはしたのだけど、逆に短編のせいか「砂時計」の時のような読みにくさは感
[amazon] ランプが1つ灯されただけの薄暗い部屋。隙間風が吹いているのか炎は揺らめき、影もまた揺らめきます。薄闇に目が少し慣れてくると、そこに見えるのは1つのランプ。視線はランプへと向かい、その炎に目が釘付けに。そしてやがて目が光に慣れると、そこに見えるのは天井に渡された3本の長い梁、錆びた黒い鉄板出来た八本脚のレンジ、化粧窓、木の長持ち、横腹の丸い鞄、そしてランプが置かれているテーブル。テーブルに置かれているのは方眼紙の束や二つ折りの新聞紙、2~3冊の薄汚れた雑誌、金文字が押された黒い本、半分吸いかけのタバコ。そして炎に近づいていく1本の手...。 先日読んだ「あまりにも騒がしい孤独」に続いて、東欧の想像力シリーズ2冊目です。読み始めた途端に「好き!」と夢中になった「あまりにも騒がしい孤独」とは全然違っててびっくり... いや、作品によって違うなんて当たり前のことなんですけど、こち
[amazon] 水圧式のプレスで故紙や本を潰してキューブにしては、再生工場に送る仕事をし続けているハニチャ。35年間で潰した本はおそらく3トン以上。しかしそんなハニチャにも楽しみはありました。それは送られてくる紙の山の中から美しい本を救い出すこと。そしてそんな本を読みふけること。そして文字にまみれ、心ならずも教養が身についてしまったハニチャにとって、どの思想が自分のもので、どの思想が本で読んで覚えたものなのか既に分からない状態...。 ナチズムとスターリニズムに踏みにじられている時代のチェコが背景なので、当然チェコの人々の暮らしは大変な状態だし、本来なら本好きの読者にとって、本が次々と処理されていくという現実は直視するのがツラいはずなんですけど、どこかあっけらかんとした明るさと、飄々としたユーモア感覚があるので、悲惨さを全然感じずに読めてしまう作品。焚書に対する怒りとか哀しみみたいなのは
[amazon] ナポレオン戦争時代のセルビア。トリエステの船主でもあり劇団の所有者でもあり、フランス軍騎兵隊の大尉でもあるハラランピエ・オプイッチと、ギリシャ系の母・パラスケヴァの息子として生まれたソフロニエも、今やナポレオン軍騎兵隊の中尉。幼い頃から大いなる秘密を心に抱き、自分を変えたいと強く願ってきたため、彼の中にはいつしか密かで強力なものが芽生え、若きオプイッチの体には変化が現れます...。 22 枚の大アルカナカードと56枚の小アルカナカードから成るタロットカード。この本はそのタロットカードの、大アルカナカードをなぞらえた物語。カードと同じく全部で22の章に分かれていて、最初から順番に読むこともできれば、タロット占いをしながらそれぞれのカードに対応する章を読んでいくことも出来るという趣向。パヴィッチはこれまでも色んな趣向の作品を書いていて、小説の構造や形態で遊びながら、読者を巻き
[amazon] 実在しない書物の書評を書くという試みは、例えばホルヘ・ルイス・ボルヘスの「伝奇集」初秋の「ハーバート・クウェインの作品の検討」にも見られるもの。そのアイディア自体はラブレー、そしてそれ以前の昔にまで遡ります。しかし「完全な真空」が一風変わっているのは、そういった書評集だけを集めたアンソロジーを目指している点なのです... という、架空の本に対する書評を集めた本。 スタニスワフ・レムの作品を読むのは初めて。SFは苦手だし、あまり読む機会はないかなと思ってたんですが、ボルヘスの「伝奇集」(感想)を読んだ時に、これが楽しめたらぜひレムを、とオススメいただいたので読んでみました。いや、難しかった。古典文学からSFまでなんて幅広い! どんな知性の持ち主なんでしょう、レムという人は。これは私には全部は理解しきれないよ... 知力はもちろん、そこまでの読解力もまだ身についてないです。で
受賞リスト[編集] 年度は授賞年(刊行の翌年)。 1970年代[編集] 1975 長編 『妖女サイベルの呼び声』The Forgotten Beasts of Eld, パトリシア・A・マキリップ 短編 "Pages From a Young Girl's Diary", ロバート・エイクマン アンソロジー/短編集 Worse Things Waiting, マンリー・ウェイド・ウェルマン 生涯功労賞 ロバート・ブロック 1976 長編 『ある日どこかで』Bid Time Return, リチャード・マシスン 短編 「ベルゼン急行」"Belsen Express", フリッツ・ライバー アンソロジー/短編集 『エステルハージ博士の事件簿』The Enquiries of Doctor Eszterhazy, アヴラム・デイヴィッドスン 生涯功労賞 フリッツ・ライバー 1977 長編 『ドク
The current World Fantasy Award statue was produced by award-winning sculptor and artist Vincent Villafranca (www.villafrancasculpture.com) and first awarded at the 2017 WFC in San Antonio, Texas. SPECIAL NOTE: Novellas were first awarded in 1982. Collections and Anthologies were given separate categories in 1988. Convention Awards were not given after 1987 except to Hugh B. Cave in 1997. Use the
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