「私が象徴といふ時、抽象的、非現実的を意味するものでは更にない。無意識界よりわが感性への、未だ言語にのぼってゐない消息、反映、照応、流動、即ちあらゆる濃い現実の祈願を言ふのである」 (三富朽葉) 窪田般彌 『日本の象徴詩人』 (新装版) 紀伊國屋書店 1979年12月31日 第1刷発行 206p 四六判 丸背紙装上製本 カバー 定価1,400円 装幀: 初山浥子 本書「新装版によせて」より: 「『日本の象徴詩人』は私の最初の単行本であった。はしがきを見ると昭和三十八年三月の日付がついているが、実際に原稿を書いたのは三十七年の夏休みだった。(中略)昭和三十七年といえば、私もまだ三十六歳、だからこそ今読み返してみれば資料も不充分、文章も稚拙、気負いばかりが目立つ原稿を書きとばすことができたのだろう。 しかし、私はこの不備だらけな書物に愛着を持っている。(中略)私の遅ればせな青春の情熱がみなぎっ