「世間(よのなか)は空しきものとあらむとぞこの照る月は満ち欠けしける」(万葉集 巻第三・四四二) 「つぎの夜から 欠ける満月より 14番目の月が いちばん好き」(荒井由実『14番目の月』) 古より日本では月を愛でてきた*1。万葉の時代からユーミンに至る現代も、その幻想的で美しく夜空に浮かび上がる月が移ろう姿に思いを投影してきた。また、月が潮汐や人体のバイオリズム、生物の産卵、植物の生長などにも連動し影響を与えることを早くから知っており、旧暦を利用していた1872年までは、朔望(月の満ち欠け)により日付を把握した。今でも「月発ち(つきたち)」が「一日(ついたち)」となり、「月隠り(つきごもり」が「晦日(みそか=つごもり)」となり、と言葉は受け継がれているが、多くの月の和名は忘れられてしまった。そこで、改めて月齢順に並べてみると、月相によっては、月には非常に多くの別名があることが分かる。これは