“まず最初になぜ、フランスがこんなにまで国を挙げて三陸かきを応援してくれるのかについて説明したい。 フランスにとってカキは、国民食といってもいいほど重要な食材なのである。 ほとんどの場合、殻つきで生で食べる。 あまり生食文化のないフランスであるが、カキだけは例外。 その理由は、古代ローマ時代にまでさかのぼる。 兵士の食糧として、沿岸部でカキの養殖を行いながら進軍し、英気を養った。 そのため、いまでもカキだけはそのまま生で食べる習慣があるのだといわれている。 そして、さらにはフランス人にとってクリスマスのご馳走といえば、誰しもが七面鳥よりもカキと答える。 とにかく国民すべてがカキを愛しているのである。 そんなフランスにおいて、1970年代にカキに病気が蔓延し、壊滅的な被害が発生した。 その際に、日本から宮城種(マガキ)が提供され、その宮城種は、病気をものともせず成長し、危機を救ったのである。