■チャリオットの誕生 戦車が発明されたのは、「文明」と「遊牧」が出会うところでした。 馬が荷引き用の家畜として使用され始めたのはBC.2000年ごろ。当初はまだ馬の品種改良が進んでおらず、小型であった馬に引かせるために、できるだけ軽い乗り物として開発されたのが「戦車」(チャリオット)でした。 戦車自体(車台)は編み籠のようなものでつくられており、それに車輪と車軸(スポーク)がついています。車台はだいたい100cm×70cmぐらい。 戦車の部品――車輪、車台、挽き棒、金属部品――は文明国で作られ、馬は遊牧民から輸入されました。その使用の目的は、第一に「戦争」でした。(狩りのために使用されたこともあるようですが) 戦略上の革新としては、「弓兵が高速に移動できる」ことに尽きました。強力な打撃力とスピード(牛から馬へ10倍の速度に)をもつこの新技術に、定住民はまったく刃向かうことができませんでした