研究費の架空請求が発覚したのは、またも東京工業大学だった。業者と結託して国から交付された研究費をだまし取ったとして、詐欺容疑で、元教授の岡畑恵雄被告(67)ら3人が逮捕、起訴された事件。平成23年に当時の副学長らによる同様の架空請求が発覚したが、岡畑被告はその後も裏金づくりを続けていた。総額は7000万円に上るとみられる。学内で「研究熱心」と評された元教授は裏金づくりにも“熱心”だったようだ。 ■自ら業者に持ちかけ、10年以上の蜜月関係 話は少なくとも10年以上前に遡(さかのぼ)るる。東工大の教授として、水晶を使ったセンサーを開発するなど着実な研究生活を送っていた岡畑被告。かねてから実験用試薬の納入などで懇意にしていた東京都内の化学製品販売業者「東光化成」の担当者に、こう持ちかけた。 「試薬を発注したことにしてくれないか」 嘘の発注による架空請求は、当時から他の大学でも横行していた悪弊だっ