菅義偉総理大臣が、日本学術会議の新たな会員候補の一部の任命を見送ったことについて、野党側は学問の自由への介入だとして追及姿勢を強めているが、菅首相を始め政府側は「法に基づき適切に対応してきた」としており、与党の一部からは、日本学術会議の在り方を問題にする意見も出されている。安倍政権時代から繰り返されてきた「二極対立」の様相を呈している。 この日本学術会議の会員任命見送り問題は、今年2月、国会、マスコミでも厳しい批判を浴びた黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題と、多くの共通点がある。 検察が、刑訴法上の権限を持つ「権力機関」であるのに対して、日本学術会議は、「科学に関する重要事項」の審議機関であり、直接的に権限を行使する立場ではない。しかし、いずれも、「独立性」を尊重される組織の人事の問題であり、政府の対応の違法性が指摘され、それに関して「法解釈の変更」があったことに共通性がある。二つの問題