三菱一号館美術館館長 高橋 明也 氏 1953年東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。専攻はフランス近代美術史。東京・国立西洋美術館の主任研究官、学芸課長として「オルセー美術館展」(1996年、1999年、2006年)、「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 光と闇の世界」展(2005年)、「コロー 光と追憶の変奏曲」展(2008年)などのヒット企画を手掛けた。2006年に三菱一号館美術館の初代館長に就任(開館は2010年4月)。1984年から1986年にかけて、文部省在外研究員として仏パリ・オルセー美術館開設準備室に勤務した経験も持つ。2010年、仏芸術文化勲章シュヴァリエ受章。『もっと知りたいマネ 生涯と作品』(東京美術)など著者、訳書多数。(写真=福知彰子) 高橋:正式に館長に就任したのは2006年なんですが、その前年頃から、三菱地所の方から東京・丸の内に計画中の新しい美術
学問の自由が危ない――広島大学で起きたことへの憲法的視点 2014年6月2日 来年は「天皇機関説事件」80周年である。この事件はあまりにも有名だが、実は、文部省思想局が全国の憲法学者に圧力をかけて、天皇機関説という特定の学説を一掃するため動いたのである(直言「憲法研究者の『一分』とは」)。教科書の改訂・絶版を行わせ、また憲法講義の担当から解任するなどの陰湿な方法を使って、大学から一つの学説を抹殺したのである。 中身が「空」(カラ)であるがゆえに「色」(カラー)を過度に強調する指導者が権力を握ったことでもたらされる不幸は、どこの国、どの時代でも共通である。焚書、研究者の戦争動員、特定の教授や学問内容への攻撃等々…。 社会の格差や矛盾が深刻な状況となり、国民の不満が政権に向かうことを避けるには、外に「敵」をつくり、緊張感を演出することが効果的である。国民にそれを攻撃させる
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