短期集中連載:ミュージアムの終活(または再生)(1) 指定管理者と独立行政法人の課題新型コロナウイルスのパンデミックによって大きな影響を受けるミュージアム。経済的な危機だけでなく、制度的な限界など、ミュージアムを取り巻く現状と課題について、国立美術館理事の経験を持つ文化政策研究者/同志社大学教授の太下義之が考察する。 文=太下義之 イメージ画像 (C)Unsplash はじめに:コロナ禍によるミュージアムの危機 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、日本国内のみならず、世界のミュージアムが運営の危機にさらされている。 ユネスコの2020年5月時点での調査によると、世界には約9万5000のミュージアムが存在するが、そのうち約90パーセントにあたる8万5000館以上が新型コロナウイルスの影響で休館している。そして、10パーセント以上のミュージアムは再開できないまま閉館する可能性があるとして