「トカゲの尻尾切り」などと言われるが、トカゲは尻尾が切られてもまた生えてくる。イモリにいたっては同じ形の手足が生えてくる。人間はなぜそのような再生機能を持っていないのだろうか。言われてみると不思議な話だが、先日、iPS細胞研究の第一人者である京都大学の山中伸弥教授の話を聞いて、目からうろこが落ちる思いだった。 山中氏は、2009年11月23日にNHKが放映した「立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む」の中で、立花氏のインタビューに答えてこう語ったのである。 「再生能力というのは、がんになるのと紙一重だと思うんです。高い再生能力を持っているということは、同時にがんがすごくできやすいということなんじゃないか。だからどっちをとるかという究極の選択が進化の過程であった。(その結果)やっぱりがんはだめだと…。(中略)再生能力はなくてもなんとかなるが、がんになれば間違いなく死んでしまう。人間