クラスターの発生が判明した米海軍横須賀基地=神奈川県横須賀市で2020年9月23日午後4時28分、高田奈実撮影 各地の在日米軍基地で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が相次いで発生している。変異株「オミクロン株」も確認された沖縄県内の米軍基地に続き、神奈川県の米海軍横須賀基地でも年末にクラスター発生が判明している。こうした中、横須賀基地内で働く日本人従業員の男性が毎日新聞の取材に応じ、不安な胸の内を明かした。 「いくら入国制限をしても穴の開いたバケツだ」。横須賀基地内で働く男性はこう語る。クラスターの懸念は発生前から従業員の間にあった。
第72回NHK紅白歌合戦に初出場が決まった歌手たち=東京都渋谷区で2021年11月19日午後0時8分、吉田航太撮影 31日に迫った第72回NHK紅白歌合戦。年末の風物詩だが、近年、多様な性のあり方への意識の高まりなどもあり、男女対抗の形式は時代とのずれも指摘されている。今年は、従来のように紅白で進行役の役割を分けず、「司会」に統一するなどの「変化」も見られるが、紅組・白組に分かれた出場者の枠組みは維持されている。専門家らからは、幅広い視聴者への配慮が必要な公共放送の立場を理解しつつも、「踏み込めなさを感じる」「男女対抗に代わる新たな視聴者との一体感が必要」などの指摘が上がる。【松原由佳/学芸部】
ある片腕のスイマーはレース後、「失格」を告げられた。理由は「両手で壁にタッチする」という健常者の競技ルールに外れたからだ。東京オリンピックとパラリンピックの開催にあたって、多様性や共生社会といった理念が盛んに唱えられた。だが、私たちの社会はその理念をどこまで実現できているのだろうか。 健常者のルール強いられ「失格」 2018年9月、札幌市で開かれた「日本スポーツマスターズ」の水泳競技会。平泳ぎのレースを終えた選手が失格になった。その選手には片腕の肘から先がないにもかかわらず、審判からは「プールの壁を両手でタッチしていない」と伝えられたという。 日本スポーツマスターズはスポーツ庁や日本オリンピック委員会(JOC)も後援するシニア向けの総合スポーツ大会だ。18年は水泳競技だけで800人以上が参加した。 主催するのは公益財団法人・日本スポーツ協会。国民体育大会(国体)も手がけるこの団体は、策定し
今年5月4日、ロサンゼルス公共図書館で行われた配信ライブで演奏する「リンダ・リンダズ」=ⒸMartin Wong 米国で「反人種差別」「反性差別」を掲げて立ち上がったのは、どこにでもいる普通の少女4人だった。ロサンゼルスを拠点に活動するパンクバンド「The Linda Lindas(リンダ・リンダズ)」。米国ではいまだ黒人差別が根強いばかりか、コロナ禍でアジア系住民への暴力事件が相次ぐ。彼女らはオンラインでライブを配信し「人間のクズ!」「バカなヤツ!」などと激しい歌詞で抗議。インスタグラムで400万回再生されるなど、世界中から熱い視線を集めている。このほど、日本のメディアとしては初めて毎日新聞のインタビューに応じた。主張の背景にあったものとは――。(記事の最後にメンバーとのQ&Aが掲載されています)【伊藤遥/学芸部】 歌詞のメッセージ 「こういった健全な方法で世の中にインパクトを与えること
記者会見する新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長=東京都千代田区で2021年8月12日午後4時50分、宮間俊樹撮影 東京オリンピック・パラリンピックについて、政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の専門家らが6月にまとめたリスク評価の提言を巡り、政府・与党から専門家に対して「圧力」があったことが浮かび上がってきた。提言を巡る政府と専門家の水面下の駆け引きを検証した。【原田啓之、金秀蓮】 「先生、提言に名前を連ねるのは、やめたほうがいいですよ」。厚生労働省に新型コロナ対策を助言する「アドバイザリーボード(AB)」の専門家メンバーの一人に6月初旬、自民党国会議員から電話があった。提言作成は4月に始まっていた。議員は「五輪の開催はもう決まっている。波風を立てないでほしい」と続けた。「何を言ってるんだと思ったが、ぐっとこらえた」。電話を受けた専門家は毎日新聞の取材にこう振り返った。
自民党本部前で同党議員によるLGBTなど性的少数者への差別発言に抗議する人たち=東京都千代田区で2021年5月30日午後6時59分、渡部直樹撮影 こんなにもひどい展開になるとは思わなかった。LGBTなど性的少数者に関する国民の理解を増進するという「LGBT理解増進法案」は、超党派の議員連盟で合意したものの、党内の反対意見に配慮した自民党が通常国会(16日閉会)への法案提出を見送り、頓挫した。党の会合では一部の議員から差別発言まで飛び出し、「ただ差別発言をまき散らされ、傷つけられただけ」とLGBT当事者の怒りや失望は大きい。なぜ、ごく当たり前のことを掲げる法案は暗礁に乗り上げたのか。【藤沢美由紀/デジタル報道センター】 「命が奪われている」届かない訴え 「LGBT差別をなくす法律を」「差別発言を撤回しろ」。5月30日、日が暮れた東京・永田町。雨の中、自民党本部前に集まった人たちはこう書かれた
6月15日の衆院本会議で、枝野幸男立憲民主党代表が内閣不信任決議案の趣旨説明を行った。否決前提の演説は、実のところ、野党側の所信表明のような役割を果たす。演説を聞いて驚いたのは、幾多の政権構想中の1項目ではあったが、日本学術会議問題で菅義偉首相が任命を拒否した6人を任命し直すと述べた部分である。 早速、昔の友人から連絡が来た。「14万筆超の署名も1000を超える学会声明も、結局何も変えられなかったね。まだこの問題やっていたんだ」。よほど(任命を拒否された一人である)私は打たれ強く見えるのだろう。平気でこう書いてくる。ただ、世の多数派の見方を教えてくれるのは助かる。今回は、昨年10月から現在までの学術会議問題の政治過程をまとめ、友人への答えとしたい。 「行動したのに何も変わらなかった」との嘆きは昔も今もある。だが多くの場合、「何も」の部分の考察不足が問題だ。運動と帰結の因果関係は意外にわかり
毎日新聞の22日の世論調査で、内閣支持率が菅政権発足後最低となる31%に低下したことで、政府・与党に危機感が広がった。新型コロナウイルス対策で効果が出ていないことが原因との見方が強い。秋までに行われる衆院選への影響を懸念している。 自民党の野田聖子幹事長代行は22日、支持率急落について取材に「変異株への恐怖が、ワクチン接種などの対策より勝っているのだと痛感した」と述べた。別の党幹部は「20%台が見えてきたのは、ちょっとまずい」と動揺を隠さず、官邸関係者は「政権としては、ここが踏ん張りどころだ」と強調した。 調査では、菅政権の新型コロナ対策を「評価しない」との回答が7割近くあり、公明党の山口那津男代表も…
2019年の参院選の応援に駆け付けた菅義偉官房長官(右)とともに支持を訴える河井案里氏(左)=広島県尾道市のJR尾道駅前で19年7月15日、渕脇直樹撮影 政治家は特に注意したほうがよさそうだ。政敵を批判するのはいいが、その発言は記録され、いつかブーメランのように自分に返ってくる。菅義偉首相のことである。過去の国会答弁やブログを調べると、自民党が野党だった2009~12年には政権の座にいた民主党を鋭く追及していた。その発言の数々が首相になった菅氏に刺さっているようにみえる。時事芸人のプチ鹿島さんと一緒に、語り継ぎたい菅首相のブーメラン発言3選を選んでみた。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】 時事ネタが好きで新聞14紙に目を通しているプチ鹿島さん。この依頼の前に菅氏のブログや著書などはおさらいしていたという。早速、感想を聞くと「野党時代の菅さんはキレッキレですね。どの意見も正論で素晴らし
「フィクションってことにしませんか」。担当編集者からそんな提案を受けたライターが、連載中止に至るまでのやりとりの一部始終を公表した。多様な分野のコンテンツを集めて急成長したプラットフォームメディア「cakes(ケイクス)」の編集姿勢が批判にさらされている。中止になった連載企画は友人の自死を巡るノンフィクションで、ケイクスのコンテストで入選していた。ケイクスでは「炎上」が相次ぎ、編集長を交代させて立て直しを図っていた矢先に、今回の連載中止が明らかになった。ケイクスで一体何が起きているのか。【待鳥航志/統合デジタル取材センター】 ケイクスは2012年にスタートしたプラットフォームメディア。小説や漫画からエッセーまで、幅広いコンテンツが人気となり、「クリエイター」と呼ばれる執筆者約1200人が記事を投稿し、現在までに1600件以上の連載が掲載されている。書籍化される連載もあり、クリエイターのデビ
日本学術会議のあり方改革を巡り、「国の機関からの切り離しも検討すべきだ」とした井上信治・科学技術担当相の発言が波紋を広げている。井上氏は検討結果を年内に報告するよう求めているが、1949年の設置以降、70年以上にわたり国の機関として運営されてきた学術会議が、わずか1カ月で判断できる可能性は低い。10月に発覚した会員候補6人の任命拒否問題を棚上げしたまま見直しを急ぐ姿勢に、会員らは「強引」「拙速」と困惑を強める。 井上氏は26日の梶田隆章・学術会議会長らとの会談で意向を伝えた。27日の閣議後記者会見でも「私も有識者や若手研究者から意見を聞いているし、国会や国民世論からもいろんな問題意識が示されている。国の機関である必要があるのか。公務員である必要があるのか。そういった意見を受け止め、まず学術会議側で考えてほしい」と強調。その上で「年内に報告をいただき、それを基に我々は我々で(組織形態を)考え
幻視と聞くと精神疾患を思い浮かべがちですが、精神疾患は認められず脳の機能も正常なのに、実際には存在しないものが見えてしまう病気があります。これを「シャルル・ボネ症候群」といいます。どのような病気でしょうか。 視力に障害ある高齢者に多く精神疾患ではない シャルル・ボネ症候群は、両目の視力が極度に低下したり失われたりした高齢者に多くみられる病気です。白内障や加齢黄斑変性症、緑内障などの患者に多いといわれています。 そこにいるはずのない人物や動物、植物、建物などのほか、複雑な幾何学模様やアニメ画像などが鮮明に見えますが、本人は見えるはずがないものが見えていることを理解しているのが特徴です。
業病(ごうびょう)とは「前世の悪業(あくごう)の報いでかかるとされた、治りにくい病気。難病」(デジタル大辞泉)。元東京都知事の石原慎太郎氏(87)がツイッターに「業病のALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性」と投稿したことへの批判が止まらない。この種の問題発言は初めてではない。毎日新聞の過去記事データベースから物議を醸した発言を探してみたら、出てくる、出てくる、目を疑うような問題発言の数々。なぜ繰り返されるのか。当時、言及された当事者や差別思想に詳しい識者に石原氏の発言に通底するものを語ってもらった。3回シリーズで連載します。【野村房代、牧野宏美/統合デジタル取材センター】 患者に責任ないのに「悪業の報い」とは 最初は10年前、「どこか足りない感じがする」と言及された性的少数者から。その前に、今回批判されている問題のツイートを振り返ってみたい。 石原氏は7月27
難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者が薬物投与で殺害されたとされる事件で、患者と面識がなかった医師2人が嘱託殺人の疑いで逮捕された。女性は安楽死を望んでいた形跡があり、金銭の授受も明らかになっている。安楽死や尊厳死を巡っては法整備の議論を求める声もあるが、ALS患者は「まずは病気や障害者の本質を理解してほしい」と、拙速な議論に警鐘を鳴らす。 サッカーのFC岐阜を運営する「岐阜フットボールクラブ」元社長の恩田聖敬(さとし)さん(42)=岐阜市=は、2014年4月の社長就任直後にALSと診断された。しばらく公表せずチームの知名度アップに尽力し、観客動員数を大幅に増やした。ただ症状の進行は待ってくれない。最初は握力が衰え始めた。発症から1年半後には車いすの生活を強いられ、15年末に退任した。 恩田さんは事件後に自身のブログを更新。ALSの患者の間で「安楽死の肯定派と否定派がいる」とした上
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