ボクシング女子66キロ級決勝戦で、中国の楊柳選手(右)に勝ったアルジェリアのイマネ・ヘリフ選手=パリで2024年8月9日、ロイター 8月11日に閉幕したパリ・オリンピックでは、ボクシング女子の2選手を巡り世界的な論争が巻き起こった。アルジェリア代表のイマネ・ヘリフ選手と台湾代表の林郁婷(りん・いくてい)選手。前年の世界選手権で国際ボクシング協会(IBA)による性別検査で失格とされていたことから、2人をトランスジェンダーと決めつけた中傷が広がった。スポーツとジェンダー、セクシュアリティーを巡る課題に詳しい井谷聡子・関西大准教授は、この問題の根底に政治的思惑や、「トランスジェンダー女性」に対する差別があると指摘する。【聞き手・藤沢美由紀】 公表されるべきでなかった染色体の情報 ――2人の選手に対しては、トランスジェンダーだと決めつけての中傷や差別的な投稿、(性染色体が一般的な発達と異なる)性分