韓国は、なぜ今になって2015年の日韓合意に反発しているのか。和解への道筋をどのように描いたらよいのか。ソウル支局時代から慰安婦問題の取材を重ね、韓国の社会やメディア事情に詳しいNHK報道キャスターの花澤雄一郎氏による書き下ろし第二弾。 国民感情がすべてを凌駕する国 慰安婦についての韓国国民のイメージは固定化している。そして国民感情に直結している。韓国では、時に国民感情が政策どころかあらゆる力を凌駕する。いったん世論が燃え上がれば誰も止めることができない。朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾はその最たる例だ。 だからこそ、慰安婦についての固定化したイメージに異を唱えることは非常に危険な行為になる。 最大の鍵は韓国メディアだが、ほとんどの記者は韓国国民と同じ認識を持っている。ほんのごく一部に詳しく理解している記者もいるが、そうした内容を報じるために社内の理解を得るのは至難の業だ。 政府も同様だ。