今回の問題は前代未聞で3つの異常なことが起きた。1つは官僚は公文書を改竄しないという前提が崩れたこと。2つ目は国会で「事実を明らかにしろ」といわれたのにしなかったこと。3つ目はそれを知りながら嘘をついたことだ。 大阪地検特捜部が今回、しっかり捜査しているのは、押収した証拠のフロッピーディスクのデータを検事が改竄する事件があったからだろう。証拠物の改竄が組織存亡の危機につながると分かっているのだ。検察も「これでは守れない。自分たちに火の粉が降ってくる」と思ったのだろう。「なあなあ」で済むと思った財務省の思惑は外れた。 財務省の官僚には慢心よりも官邸への恐怖があったのだと思う。安倍政権になって内閣官房に内閣人事局ができ、経済産業省の力が強くなる一方、政策決定の予算をつかさどり、「官庁の中の官庁」といわれた財務省の時代は終わった。