<強すぎる国家が人間の権利と民主主義を踏みにじることを現代の日本人は知らない> 訳知り顔に言う人がいる。「この頃の米中対立は追い上げられたアメリカが覇権にしがみついているだけ。日本は双方と適当に付き合い、勝ったほうとよろしくやっていけばいい」と。 トランプ大統領がその粗野な言動でアメリカの品位を下げている今、愛想を尽かすのも分かる。だがもし中国が勝利すれば、今の日本人が空気のように無意識に享受している人間としての権利、そして民主主義は奪われ、われわれは窒息するだろう。 人権尊重、そして民主主義は、戦後アメリカが日本に力で押し付けたものだが、アメリカがおちぶれたら捨てていいものではない。日本人自身の気持ちにかなうものであり、死守しなければならないものだ。 筆者は外交官時代、ソ連に何年も勤務した。大げさに言えば、目ぼしいものは全て分配し、軍需以外での技術革新や投資はしない社会、他人と違うことを
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