こぎれいなフロア内で数人の日本人アニメーターがタブレット画面に向かって、中国向けのアニメやゲーム動画を描いていた。東京都町田市のオフィスビルの5階。ネット大手、テンセント傘下の閲文集団(チャイナ・リテラチャー)が出資するアニメスタジオ「彩色鉛筆動漫」(中国・重慶)の日本拠点だ。従業員は18人と3年で約3倍に増えた。専門学校卒の初任給は17万円程度で住宅手当や交通費も払う。「給与や休みなど安定し
【関連記事】世界で急成長の日本アニメ、海外勢が猛追 輝き続けるカギは? 片渕監督の眼 【関連記事】なぜ日本アニメは世界で愛される ディズニーとは対極の「ガラパゴスの力」 ――日本のアニメには、見ている人が自分自身の人生と重ねて入り込める、共有できるストーリーが多いと、海外のアニメファンの多くが言っていた。だからこそ、国籍に関係なく、様々な国で受け入れられるのではないでしょうか。 えっとね、違うかもしれないんだけども、ある意味、日本のアニメーションがティーンエージャーより上の世代に向けて特化していった、対象年齢を特化していった結果だと思うんですよ。例えば、ピクサーなどはまだ子供のために見せるという使命が残っていますよね。日本はもうないですよ。 それはね、逆に言うと、そこが穴場なんです。「我々の世代に向けて語ってくれるメディアってない」と、ティーンエージャーや20代前半の人が思うわけです。とこ
(花園 祐:中国在住ジャーナリスト) 2019年10月、中国メディア「環球時報」は、日本人アニメーターが日本国内における待遇の悪さから、このところ中国の制作会社などに引き抜かれているというニュースを報じました。 このニュース内容が翻訳されて日本でも報じられると、かねてアニメーターの薄給激務ぶりが報じられていたこともあり、ネット上を中心に日本のアニメ業界の現状を憂う声が広がりました。 日本のアニメ産業は、今や世界に誇る重要産業です。本当に日本のアニメーターが中国に引き抜かれているのか? 環球時報の報道の真偽、そして日中アニメ業界の現状について、日本のアニメ業界関係者に話を聞いてきました。 中国企業による引き抜きは起きているのか 話をしてくれたのは、日中間を跨いだアニメ制作に広く携わる、日系アニメ制作会社のAさんです。まず、日本人アニメーターが中国に流出しているという報道について尋ねたところ、
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