「地中熱」を使えば、冷暖房の消費電力量を大幅に減らせる。これまで掘削やヒートポンプなど初期コストが普及のネックだったが、政府の方針で助成制度が急速に整ってきた。空港やスカイツリーなど大規模施設での導入も相次ぎ、国内に「地中熱利用」が広がりつつある。 地下の温度は年中安定していて、例えば東京なら常に約17℃だ。夏は涼しく冬は暖かい。地中熱利用のエアコンは、空気熱源のエアコンの約半分しか電力を消費しない。暖房以上に冷房での節電効果が大きく、排熱を外気に捨てないためヒートアイランド現象の緩和にも貢献する。 火山地帯を約2000m掘って高温の蒸気や熱水で発電する「地熱」利用と異なり、比較的浅い地下にある空気や水の熱を空調や給湯、融雪などに使うのが「地中熱利用」である。熱源杭を打ち込む工事は早ければ1日で終わる。新築ビルの場合は基礎杭も活用できる。 日本の設置総数は2009年までの累計で580