(掲載日 2015/4/21) (IASR Vol. 36 p. 87-89: 2015年5月号) インフルエンザ脳症は、インフルエンザ罹患に伴って発症する意識障害を主徴とする急性脳症であり、その臨床像は様々で、成人では稀とされている1-3)。我々は、極めて急速に進行する意識障害、けいれんおよび頭蓋内圧亢進症状を呈し死亡したインフルエンザ脳症の成人例を経験したので報告する。 既往歴:アレルギー性鼻炎(花粉症)、常用薬なし。2014年4月過敏性肺臓炎で入院、自然軽快。アレルゲンは不明。2014年10月27日インフルエンザワクチン接種。 現病歴:2015年1月10日に3名のインフルエンザ患者が本例の勤務する医療機関に入院した。1月15日は通常に勤務を行っていたが、帰宅後18時頃に38.5℃の発熱あり、アセトアミノフェン200mg、セフカペン100mg、カルボシステイン500mgを内服した。