(前回から読む) 前回は一人当たり国内総生産(GDP)で見る限り、北朝鮮の経済は国際的に最貧国の分類に入ると言える点を数字で明らかにしました。今回は北朝鮮経済がもっと貧しい状況から現在の水準にまで這い上がってきたのか、相対的に良好な状況から現在の水準に落ち込んだのか明らかにします。 この点を明らかにするためには、一人当たりGDPの長期的な数値を見る必要があります。この数値には、前回に紹介した推計値が使えます。具体的には、ソウル大学のキンビョンヨン教授、国連統計局、現代経済研究院による推計値です。これら推計値はそれぞれ短所もありますが、比較的近年までの数値を時系列で入手できるため貴重です。 なおこれら時系列の数値の多くが一人当たり国民総所得(GNI)ですので、今回は一人当たりGNIを中心に見ていきます。前回で説明したように、北朝鮮においては一人当たりのGDPとGNIの間にはほとんど差がありま