文学部の大学生〈私〉と、噺家・春桜亭円紫(しゅんおうていえんし)が解き明かす、日常にひそむ謎と不可思議。 見られるはずのない夢・大量の砂糖を入れられた紅茶・幼稚園から一晩だけ姿を消した木馬…。人が生き、触れ合うことで生じる明暗を描く五つの物語。 本格推理小説であり、一人の女性の成長を捉えた爽やかな青春物語でもある”誰も死なない”ミステリの記念碑的作品、初漫画化。 『空飛ぶ馬』を書き始めた夏の、書き終えた冬の日が、いつの間にか遠くになりました。 多くの方々に愛していただけた物語が、主人公が、今またここに、もうひとつの命を持てました。 ――北村薫