「デジタル教科書」の定義、「デジタル教科書」開発の現状と今後、「デジタル教科書」を考えるための観点、実践事例の分析を通じてわかってきていることなどについて述べる。 近年、学習者用の「デジタル教科書」のあり方に関する議論が盛んに行われている。具体的に何をどこまで実現するツールとして「デジタル教科書」を設計すればよいのか、正解はひとつではない。 「デジタル教科書」は、ハードウェア、コンテンツを含むソフトウェア、そして社会的な制度が一体となって成立する。そのため様々な業界の人々が協力して、議論を重ね、作り上げていく必要がある。 だとするならば、「デジタル教科書」のあり方に関する議論を行うための前提となる情報を整理しておくことが重要であろう。本稿は、そのような学習者用の「デジタル教科書」のあり方について議論するための前提となる情報を共有しようとするものである。 まずは、わが国における「デジタル教科