岩手・花巻宮沢賢治の想像力をかき立てた岩手山と星空=岩手県八幡平市 人々のあいだの絆がおぼつかなくなった時代だからこそ、宮沢賢治(1896〜1933)の言葉が改めて光を放つのでしょうか。賢治は詩や童話を書くかたわら、農学校の教壇に立ち、農民の生活改善のために尽くして、イーハトーブ(理想郷)の実現を夢見ました。 昨秋、賢治の生まれ故郷・岩手県花巻市を訪ねました。午後7時。市内中心部で「星めぐりの歌」のBGMが流れます。賢治の作った中で最も知られているこの歌曲は、初期の童話『双子の星』の作中歌です。1918(大正7)年夏、盛岡高等農林学校の研究生だった賢治が、幼い弟妹に歌い聞かせたとされています。 星座名をちりばめた曲の調べは、ほのぼの明るいものです。「石コ賢さん」とあだ名されるほど鉱物採集に熱中し、コンパスと星座表を持って星座さがしに出かけていた姿が目に浮かぶようです。 裕福な商家に生まれた
きのう何食べた?(よしながふみ) 2008年01月04日 きのう何食べた? 1 よしなが ふみ (講談社 ¥ 590) 「あ、ゲイだ」。本書を読んだ私は最初にそう思った。青年誌「モーニング」連載なのに主人公がゲイとはさすがにびっくり。でも、それが違和感なく、おそらく男性に多いだろう「ホモフォビア」(男性同性愛を激しく嫌悪する)の方々にも拒絶されないであろう作品に仕上がっている。なぜなら主人公はとびきりの料理上手で、その様子があまりにおいしそうに描かれるからだ。おいしそうな料理を見て、腹を立てる人間はそうそういないだろう。 弁護士をつとめる43歳の主人公・筧史朗は料理上手、しかもハンサム。彼の調理場面がこの漫画のメーンだ。倹約家の筧がスーパーで安い食材を吟味し、台所に立ち、同棲相手の美容師・矢吹賢二と食べる、ほぼ毎回その場面が登場するのに、決して読者を飽きさせない。二人がゲイであり、それにま
体調回復「10月に賭ける」 松尾スズキ、舞台に映画に 2007年10月04日15時23分 松尾スズキがミュージカル「キャバレー」を演出する。この春体調を崩して、主宰する劇団「大人計画」公演への出演をとりやめたが、健康を回復し、元気にけいこに取り組んでいる。自作小説をもとにした監督映画「クワイエットルームにようこそ」も20日から公開される。松尾は「今年は10月に賭けてます」と笑う。 舞台、映画と演出作品が続く松尾スズキ J・カンダー&F・エブの曲と詞でおなじみの「キャバレー」(J・マステロフ台本)は、ナチスの足音高まるベルリンを舞台にした、享楽、退廃と、歴史の悲劇が交錯する名作だ。66年のブロードウェー初演は巨匠H・プリンスが演出。90年代には英国の俊英サム・メンデスの演出版が注目された。 演出の依頼を受け「ボブ・フォッシー監督の映画が好きだったのですが、舞台の台本を読んだら、もっとおもしろ
脚本家・俳優宮藤官九郎のお母ちゃん 泰子さん:4 これからも私を使ってください 2007年09月25日 官九郎と泰子、実は何度か「共演」している。初共演は官九郎の大学中退直後。官九郎作の劇の一部として舞台に流された映像の中で、泰子はイカの着ぐるみ姿で踊っていた。 官九郎は24歳で年上の振付師と結婚。友人主催の結婚パーティーに両家から唯一呼ばれた泰子は、ツッパリ姿で官九郎とコントを演じている。 「恥ずかしかったけど、面白い経験でした。俊坊(官九郎)が目立ちたがりなのは私の血なのかもしれませんねぇ」 * 夫・紹平は小学校を退職後、幼稚園の園長に就任。1998年5月、不調を訴えて入院、2カ月後に69歳で死去した。 1年9カ月後、官九郎の脚本家としての出世作となったテレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」が始まった。 「ゴールデンタイムのテレビに『脚本 宮藤官九郎』の文字。感無量でした。夫にも見せ
脚本家・俳優宮藤官九郎のお母ちゃん 泰子さん:3 やりたいことは大学にはない 2007年09月18日 高校時代、宮藤家は官九郎の友人のたまり場だった。泰子が日舞を教えるけいこ場は別棟になっており、そこに官九郎の部屋もあった。たばこやエッチなビデオが持ち込まれることもあったが、夫・紹平が怒るのはそこではなかった。 「掃除や片付けなどの家族としての仕事をしてないと、注意してすぐやらせました。また、友人が来ていても、大みそかの10大ニュースの発表や節分の豆まきなど、家族の行事をさぼることは絶対に許しませんでした。俊坊(官九郎)は『怒るポイントが人と違う。反抗するのも馬鹿らしい』とぼやいていました」 * 木曜深夜になると、官九郎はラジオにかじりつく。お気に入りは「ビートたけしのオールナイトニッポン」。たけしにあこがれ、ネタを作っては投稿した。 「はがきを5回読まれると番組の忘年会に出られるというの
脚本家・俳優宮藤官九郎のお母ちゃん 泰子さん:2 女には懲りた?と男子校へ 2007年09月11日 大みそか。宮藤家では毎年、10大ニュースが披露される。泰子の発案で1971年に始まった恒例行事。担当者が一家に起きた出来事を選び、家族の前で発表する。81年は小学5年の官九郎が担当。 父・紹平の校長昇進を祝い、家族がそろって記念撮影(手前右が小学5年生の官九郎) 官九郎が選んだニュースの一つは「かぜひき女のかまくら見物 帰ってくるころにはぴんぴん」。 「この年、私は友人と秋田県へかまくら見物に行ったんです。前日まで高熱で寝込んでいたので、それでも旅行へ行ったことをからかったんですよ。10大ニュースは面白おかしく発表するんです」 このイベント、今でも続いている。 * 上の娘2人が進学などで家を離れ、夫・紹平が単身赴任。官九郎は小学5年から中学1年まで泰子と2人暮らし。泰子は官九郎と体を張って遊
脚本家・俳優宮藤官九郎のお母ちゃん 泰子さん:1 文化祭をずっと続けている感覚 2007年09月04日 テレビドラマ「木更津キャッツアイ」「タイガー&ドラゴン」、映画「ピンポン」……脚本家としての活躍が目立つ宮藤官九郎(くどう・かんくろう)(37)。俳優や構成作家としても評価が高い。いったい本業はなんなのか。母の泰子(たいこ)(73)も首をかしげる。 舞台出身だが、映画やテレビでも注目される。活躍のフィールドは広い 「書くのが得意なので、脚本家だと思うのですが、映画監督やバンドもやってますし……。たぶん好きなことをやっているだけなんですよ。文化祭をずっと続けている、そんな感覚だと思います」 * 宮城県若柳町(現・栗原市)の宮藤家は文具店。店は戦後、泰子の母が始めた。泰子は親類の紹介で6歳上の小学校教諭・紹平(しょうへい)と結婚、3人の子に恵まれた。1970年7月、36歳で生んだ長男が官九郎
「ミサ曲第1番ヘ長調」 シューベルトとテレーゼ・グロープ 2007年08月25日 ステンドグラスからこぼれる日の光と、透き通った歌声が、小さな礼拝堂に降りそそぐ。 宮廷礼拝堂で歌うウィーン少年合唱団。「先輩」シューベルトはミサの仕事を好んだ=ウィーンのホーフブルク宮殿で ピアノ五重奏曲「ます」が生まれたオーストリア・シュタイヤー。川の流れは今も美しい シューベルトとテレーゼを育んだウィーンのリヒテンタール教会 シューベルトとテレーゼ オーストリアのウィーン中心部にあるホーフブルク宮殿。「女帝」と呼ばれたマリア・テレジアやフランス王妃となったマリー・アントワネットらハプスブルク家の人たちが祈りをささげた宮廷礼拝堂で、日曜朝のミサが行われていた。 このミサの主役は、上層階のテラスでミサ曲を奏でる礼拝堂のオーケストラとウィーン少年合唱団だ。 ミサの終わり。セーラーカラーの制服に身を包んだ合唱団員
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