北の文化【北の文化】北海道の方言の源を探訪して 夏井邦男 ●夏井邦男 北海道教育大名誉教授 ■「浜ことば」地域に根強く 北海道、とりわけ内陸の都市部に住む人は、自分たちの話す言葉が方言だと気づかないという。これは、明治以降の開拓に伴って、新たな共通語が生まれたという北海道の歴史の浅さに起因するようだ。しかし、鎌倉時代の道南地方では、アイヌの人々に混じって東北北部から渡来した和人が社会生活を営み、商品流通の高度に発達した地域であったことは、歴史学者の認めるところである。『諏訪大明神絵詞』(14世紀中頃)によれば、そこで用いられていた方言は粗野だが大半は関東以北の言葉と相通じると記している。これこそ海岸方言、つまり「浜ことば」の祖であり、根強く生き続け地域差も生じている。 ◇ ◇ ◇ 少し具体例をあげてみよう。 道内では地域によって「アゴワカレ」は送別会の意で使われる。飲食を連想して、